「家族とは?」誰もが一度は考えるテーマではないでしょうか。小説や映画でも多く扱われ、いろいろな家族の形があることがわかりまね。離婚率の高いフランスでは、家族のあり方についての考え方も人それぞれ。フランス人の家族観や、離婚後も安心して子育てできるサポートについてご紹介します。
フランスでは離婚後の子育てサポートが万全!
フランスの夫婦やカップルは、愛がなくなれば早い段階で別れる決断をする場合が多いです。子どものために世間体が…などという考えよりも、自分の気持ちを優先する人がとても多いと感じます。フランスでは離婚や別居後の、ひとり親世帯への子育てサポートがしっかりされているからといえるでしょう。どのようなサポートがあるのか、例を4つ挙げていきます。
1.隔週で子どもを預かる親権制度
子どもがいる夫婦が離婚をしたとき、「今週はママの家、翌週はパパの家」というように、子どもが隔週で両親の元で過ごせるシステムです。バカンスなどの長期休みも、双方が分担して子どもを預かります。
2.ひとり親世帯への経済的援助
ひとり親世帯を対象にした手厚い補助制度があるので、経済的な不安がある場合でもソーシャルワーカーに相談できます。
re’publique française:Allocation de soutien familial (ASF) : parents séparés
3.託児所、保育園、ベビーシッターなどが充実
子どもを安心して預けることができれば、仕事と家庭の両立が可能です。時間が不規則な仕事でお迎えが遅くなっても対応可能なベビーシッターさんがいます。各自の状況によって選べる環境が整っています。
4.環境変化によるストレスや精神的苦痛のケア
フランスでは悩みを抱えた人たちが無料相談できたり、カウンセリングを受けられるシステムがあります。家族環境の変化で子どもや大人が精神的苦痛を感じた場合、公共施設のセンターに予約を入れ、医師やカウンセラーによる相談・治療が可能です。
フランス人が驚く日本の親権制度!
離婚して親権を取らなかった親は、子どもと会う時間がとても少なくなる、または全く会えないという日本の話をするとフランス人達はびっくりするようです。
「父母が離婚しても、子どもにとって親であることは変わりないのに会えないなんてひどすぎる!子どもにはパパとママが必要なんだよ!」と日本の親権制度に異議を唱えるフランス人は多いようです。
各家庭よって事情があるので、一概に会えないことが悪いとは言えません。しかし、子どもにとっては、父と母と平等に交流できたほうが気持ちが安定するのかもしれない感じました。
フランスでは離婚後も行事は家族で一緒に過ごす
フランスでは別れた夫婦でも、子どもが小さい間はクリスマスなどの大切な行事を共同でおこなうことが多いです。環境が変わっても、子どもたちに家族との時間を設ける働きかけを積極的にやっているといえるでしょう。
離婚後も交流を続けるためには、元パートナーとの連携が必要になってきます。フランス人は泥沼化する前に別れるケースが多いので、別れた後もコミュニケーションを取る気持ちの余裕があるのかもしれません。
混合家族、ステップファミリーに大事なこと
ステップファミリーは、フランスでは珍しいことではありません。お互いに連れ子ありの共同生活。子どもたちは、親の新しいパートナーや新しい兄弟やを受け入れ、それなりに仲良くやっているケースが多いと私は感じています。
大人の場合は、お互いの過去の配偶者との関係もあるため少し複雑な印象を受けます。パートナーの連れ子と気が合わない、教育方針で対立するなどもありますので、カップル間で価値観のすり合わせや子どもへの寄り添いやコミュニケーションが重要となるでしょう。時には愚痴をいいながらも、少しずつ新しい家族の形をつくっているようです。
フランスにはさまざまなルーツを持つ人が多く、多様性に関してもオープンな対応が基本。新しい環境や新しい家族の形にも前向きに対応し、何かあっても話し合って解決していきます。
まとめ
フランスの離婚後のシステムが整っているとはいえ、やはり別れは痛みと多くのエネルギーを伴います。それでも、フランス人達は自分の気持ちに正直に生きていくことを選択し、新しい出会いにとても前向きです。人との関わりを楽しむ姿勢がフランス流なのかもしれませんね。
執筆
YUKO