12月28日（火）、フランスの１日の感染者が25日のクリスマスに、コロナ禍始まって以来、初めて10万人を超えて過去最多となりました。この爆発的な感染再拡大を受けて、カステックス（Jean Castex）首相は記者会見で新たな措置を発表しました。内容には「行動規制」といった厳格なものは組み込まれず、感染抑止と社会生活や経済活動のバランスを重視しています。
大晦日の夜間外出規制「なし」、打ち上げ花火とお酒は「ダメ」
夜間外出禁止が導入されていた昨年のクリスマスや大晦日と異なり、今年は大晦日に友人たちと外出したり、家で行われるパーティに出かけることもできます。
ただ、公道でお酒を飲んだり、打ち上げ花火を上げることは禁止され、各市町村は大晦日のカウントダウンなどのイベントを相次いでキャンセルしています。また新年の公的セレモニー等も全て中止されます。
学校は「聖域」、感染増も「例年通り」
ヴェラン（Olivier Véran）保健相は、「重症化しない」と言われてきた子供の入院患者が増え、現在190人が入院しており、その内35人が重症となっている事を「承知の上」で、学校のクリスマス休暇の延長はせず、例年通り「新年３日から再開する」と発表しました。
屋内、屋外イベントに人数制限
屋内でのイベントや集会は2,000人まで、屋外は5,000人までに制限されます。座席のない立ち見のコンサートは、ソーシャルディスタンスが保てないため禁止となります。
飲食狙い撃ち、３日からカフェ「立ち飲食」禁止、列車内も
１月３日より３週間、カフェやバー、レストラン内のバーカウンターでの立ち飲みや立ち食いが禁止され、着席のみ可能となります。
飲食による感染警戒から、飲食店のみならずコンサート会場や劇場、屋内スポーツ、更には公共交通機関内での飲食も禁止となります。これは長距離列車にも適用されます。
３回目のワクチン接種時期、「２回目から３ヶ月経過」に短縮
カステックス首相は「フランスの新型コロナ対策の『最大の武器』は依然ワクチンである」と述べ、そのため３回目の「ブースター接種」をこれまでの４ヶ月経過後から１ヶ月早め、「２回目接種、もしくは感染から３ヶ月経過後」に変更しました。
増える「偽コロナパスポート 」、処罰を厳重化へ
単なる個人の「ごまかし」とは違い、大掛かりに売買されている「極めて悪質な」偽コロナパスポート摘発増加に関し、「これは人の生命を危険にさらす行為にあたる」と首相は強い口調で「対抗措置が検討されている」と述べました。
その一環として、昨日27日の閣僚会議において、「コロナパスポート 」にワクチン接種義務づける「ワクチンパスポート」に変更する案を議会で協議することが明らかにされました。
「ワクチンパスポート」15日から導入目指す
これが国会で議決すると、これまでワクチン接種をしなくとも、PCR検査での陰性証明があれば入場できた場所（カフェ、博物館、コンサート会場など）に、１月15日以降は３回のワクチン接種がないと入れなくなります。
この法案にはワクチンパスポートをチェックする側であるカフェやレストランの経営者等に対し、「疑わしい証明書を見つけた場合」に「所持者の身分証明を確認する権限を与える」ことが盛り込まれています。
これにより政府は違反行為の現行犯の特定を可能にし、新しく法で定めた処罰の適用を目指しています。
屋外でマスク着用、自治体ごと
首相は発表で「屋外でのマスク着用義務の再導入」にも触れていますが、地域や場所などの詳細は各市町村に委ねられます。市の中心部など「繁華街」に絞られると予想されます。
濃厚接触者、自主隔離期間の短縮を検討中
濃厚接触者の自主隔離期間の短縮について、政府はフランス国民健康高等評議会（Haut Conseil de la santé publique）に打診中で、今回は特に変更はありませんでした。
現在オミクロン株に感染した人の濃厚接触者は７日間の自主隔離義務があります。また家族など感染者と同居する人に関しては17日間の自主隔離が義務付けられています。
感染者数激増に比例して濃厚接触者も急増していて、医療現場はもとより企業や商店、交通機関で人員不足に陥るケースが多発しています。
経済活動が「麻痺」する危険性を秘めていることから、短縮を望む声が経済界からあがっています。
またまたテレワーク「３日間」
もうすっかりお馴染みになった「テレワーク」、今回も可能な企業や職種に対して最低でも週３日のテレワーク導入が義務となります。
2021年も終わりが近づいています。来年こそ「コロナ禍」のニュースがなくなりますように！
Bonnes fêtes de fin d’année！
執筆：マダム・カトウ
