7月3日(金)、フランスにおける新型コロナウイルス感染拡大に伴い3月24日に発動された「非常事態宣言」が7月11日より「条件付き」で解除されます。
行動制限、人数制限の解除
非常事態宣言により、フランス政府は国民に対し「行動の制限」や「集会の禁止または人数制限」などを強制することができましたが、昨日国会で解除が決議され、今後は国民の自由な移動や行動を「禁止」することはできなくなります。
これに対し、保健大臣(ministre de la Santé)のオリヴィエ・ヴェラン(Olivier Véran)は、新型コロナ感染第二波を警戒し、「非常事態宣言を解除したからといって、衛生管理上の対策を怠ることはできない」と慎重な姿勢を見せています。
今回の決議で非常事態宣言は解除されますが、衛生管理を理由にした一部の法令は残されています。
ちなみに、感染拡大が続くフランス海外領土のフランス領ギアナ(Guyane française)とマヨット(Mayotte)に関しては、10月30日まで非常事態宣言は解除されません。
マスクの着用や検査の義務など、一部法令は変わらず
フランスでは、3月17日からの《ロックダウン》で約2ヶ月間にわたる国民の行動制限が行われましたが、7月11日以降にもし再度このような「外出禁止令」を発令するには新たに非常事態宣言を行う必要があります。
しかしながら、現在もフランス各地で発生しているクラスターを食い止めることを理由に、今後も政府は感染拡大が再発した限定的な地域において、商店や公共施設、学校などの一時的な閉鎖を命令することができます。
また、公共交通機関を利用する際のマスクの着用義務や、海外への渡航にPCR検査を命じる可能性を残すなど、衛生管理上の法令も維持されます。
これに対し野党は、「解除はだまし絵」(社会党:Partie socialiste)や「偽装解除」(共和党:Les Républicains)、「衛生管理を理由に、政府反対デモを制限をしようとしている」(極左「不服従のフランス党」:La France insoumise)と一斉に非難しています。
執筆:マダム・カトウ