3月5日(金)、フランスにおける職場の男女平等推進の為、社員1000人以上の企業に《男女平等指数》が導入されてから1年が経ちましたが、フランス労働大臣(Ministre du Travail)ミュリエル・ぺニコ(Muriel Pénicaud)は指数の低い企業名を公表し不服を表明しています。
大企業19社に改善なし、2年後には罰金も
フランスの巨大財閥の一つで全世界の従業員数36000人、連結売り上げが27億ユーロ(約3240億円:1ユーロ=約120円)のドゥリシュシュブール社(Derichebourg)(ごみ収集リサイクル、放射性廃棄物処理他)、スポーツ用品専門大手チェーンのゴースポール社(Go Sport)など19社は《男女平等指数》が100点満点中75点以下で、「1年前から改善されていない」とぺニコ大臣は名指しで批判しています。
大臣はまた、これらの企業には「職場における男女平等法の遵守について、近々労働省から直接指導」が入り、さらに2年以内に改善されない場合は「改善されるまで、1年間の給与総額の1%を毎年罰金として課す」と発表しました。
今年3月より社員50人以上の企業にも導入
昨年3月に社員1000人以上の大企業にのみ導入された《男女平等指数》は、昨年9月には社員250人以上の企業に拡大され、今年の3月1日より社員50人以上の企業にも導入されています。
指数は100点満点で、下記の5項目で算出されます:
- 男女給与格差 40点
- 男女昇給格差 20点
- 男女昇進格差 15点
- 産休復帰社員の昇給 15点
- 社内で最も給与が高い社員における女性の割合 10点
フランス大企業上位1200社の《男女平等指数》を公表、ほぼ満点は55社
本日、《男女平等指数》導入企業1200社の数字が公表されますが、そのうち100点もしくは99点を獲得した企業は55社で、昨年導入時の36社から大幅に進歩しています。
また、通信のオランジュ社(Orange)、保険のマイフ社(Maif)、化粧品販売大手のノシべ社(Nocibé)フランスの宝くじ協会フランセーズ・デ・ジュ(Française des jeux)は大きな改善が見られていると、ぺニコ大臣は評価しています。
ちなみに1年前の平均値は83点でしたが、今回87点に上昇しています。
フランスの男女給与格差25% 《同一労働、同一賃金》も未達成
フランスの働く女性の給与は平均して男性より25%低いのが現状です。言い換えると、女性のほうが低賃金の職業に多く従事していることになります。
しかしながら、これを「同じ職務かつ同年齢」の場合で比較しても男女間には9%の給与差があります。
1972年に男女平等法が導入されてから実に50年近く経った今でも、「同一労働、同一賃金」は実現していません。
執筆:マダム・カトウ