2月12日(水)の報道で、2013年から年金を受給した世代の内、 貧困層の生活レベルは向上し、富裕層の生活レベルは低下したことが明らかになりました。
貧困層の老後の生活レベルが大幅に向上
公的統計の作成を行っているフランス国立統計経済研究所(Institut National de la Statistique et des Études Économiques/INSEE)は、2013年から年金を受給したフランス人75万8000人の受給開始前後の6年間(2010年から2016年まで)の生活レベルの変化を調査しました。その結果、下位10パーセントの貧困層の生活レベルは69パーセント向上し、上位10パーセントの富裕層の生活レベルは27パーセント低下したことがわかりました。
高水準の年金受給額により生活レベルが向上
年金受給により、下位40パーセントの家庭の生活レベルが向上しました。これはフランスでは年金はその他の補助金よりも高額であることが一因になっています。例えば、2015年の年金は月800ユーロと、日本の生活保護制度に相当する「積極的連帯所得手当(revenu de solidarité active/RSA)」よりも286ユーロ高くなっています。
また、老後には年金に加えて住宅手当もあるので、これによって多くの人は貧困層よりも高い生活レベルを維持することができます。
年金受給者で貧困状態の人はごく僅か
2013年時点での年金受給者の貧困者は10パーセントでしたが、その数は3年後には7パーセントに減少しています。フランス人全体の貧困者は14パーセントなので、これと比べて低い数値になっています。2013年に年金を受給し始めた貧困者の内、2016年にも貧困者の人の割合は3パーセントにとどまっています。
老後に仕事を持ち続けるのは困難
退職後に再就職することによって収入を増やそうとする人もいますが、その多くは長続きしていません。再就職した人の内、3年後にも仕事を続けている人の割合は15パーセントになっています。また、資格の有無も影響しています。何らかの資格を持っている人の内、退職後も仕事がある人は22パーセントなのに対し、資格を持っていない人の場合はその割合は11パーセントになっています。
フランス国立統計経済研究所は2018年の報告で、1951年以降に生まれた世代の老後の生活レベルは向上傾向にあると述べています。
執筆・Shunsuke