2月26日(火)、野菜・果物生産者組合(L’Interprofession des fruits et légumes frais : Interfel)責任者のローラン・グランダン(Laurent Grandin)氏は、野菜と果物にかかる税金を引き下げる意向を発表しました。
パリでは2月23日(土)から3月3日(日)まで国際農業見本市(Salon International de l’Agriculture)が開かれており、このイベントに合わせて今回の措置が発表されたとみられます。
フランスの消費税
フランスではEUの枠組みに基づき、あらゆる商品に付加価値税(la Taxe sur la Valeur Ajoutée:TVA)がつけられます。これは日本の消費税に相当する税金です。
EU内ではこの税率の最低基準のみが定められており、加盟国は自由に税率を決めることができます。ただし、食品をはじめとする必需品には軽減税率を適用することが認められています。
食品には5.5%
現在フランスでは、工業製品やサービスなど一般の消費財には税率20%、宿泊や交通料金などには10%のTVAがかけられています。
これに対して食品のTVA率は5.5%で、たしかに軽減税率が適用されていることが分かります。
税率引き下げの背景
グランダン氏は、野菜や果物への税率を「ほぼ0%にする」と主張しています。この背景には、国民の健康への配慮があります。
国民の健康のために
世界保健機関(Organisation mondiale de la Santé:OMS、英WHO)による調査では、フランス国内の野菜と果物の消費量が期待値(一日あたり400グラム)を下回っていることが分かっています。
このままでは心臓血管の疾患や肥満のリスクが高まるため、野菜や果物の消費を促進するために価格を下げようとしているのです。
購買力の強化のために
税率の引き下げは、昨年から続く「黄色いベスト運動(Manifestation des Gilets Jaunes)」でも主張されていました。
この運動への回答として、昨年末にマクロン大統領が設けた「国民との議論(Grand débat national 2019)」においても取り上げられている内容です。
確かに上がっている食品価格
野菜・果物生産者組合による調査では、昨年はフランス人の68%が”野菜や果物の値上がりを実感した”とのことです。洪水や猛暑等の気候要因によって生産量自体が減少したことが原因のひとつに挙げられます。
昨年の夏には食品価格が平均して4%上昇したこと、特に野菜や果物の価格は5%値上がりしたという調査結果も明らかになっています。
今回、野菜・果物生産者組合は税率の引き下げによって”野菜や果物は高い”という固定概念を破り、国民の購買力アップを図りたいと表明しています。
執筆あお