南西フランスのカルカッソンヌ近郊のトレーブ(Trèbes)で23日(金)に起きたテロ人質事件で死亡した憲兵隊員、アルノー・ベルトラーム(Arnaud Beltrame)大佐の告別式が、明日28日(水)パリで行われます。
自ら人質の身代わりを買ってでる
3月23日(金)、午前11時半時ごろ、イスラム国戦闘員をなのる男がスーパーの客ら数人に向け発砲し、従業員を人質にとって立てこもりました。現場に駆けつけた憲兵隊の一人、ベルトラーム中佐(当時)が人質の身代わりをみずからかって出て中にはいり、銃を突きつけられながらも自分の携帯電話をつけたままにして、外にいる部隊に状況を伝え続けました。
事件発生から3時間後の14時半ごろ、中から銃声がきこえ、待機していた憲兵隊の機動部隊、GIGN(Groupe d’intervention de la Gendarmerie Nationale)が突入しました。ベルトラーム中佐は手足を銃でうたれ、首をナイフで切りつけられるなど重傷を負い、その日の夜死亡しました。(犯人は射殺され、現在、共犯者とおもわれる2名が拘束されています。)
ベルトラーム中佐は、その英雄的行為から、死後大佐に昇格されています。
国の英雄としてアンヴァリッドで告別式
事件の起きた地元での告別式につづいて、明日28日(水)、マクロン大統領の命により、パリのアンヴァリッド(l’hôtel des invalides)にて告別式がおこなわれます。大統領のほか、コロンブ内務大臣、および憲兵隊隊長、遺族、憲兵隊員などが参加します。
ベルトラーム大佐の棺は朝10時にパンテノン広場を出発し、アンヴァリッドへ向い、11時半から告別式が行われます。
アンヴァリッドは廃兵院とも呼ばれる旧軍事病院で、現在その一部が軍事博物館として公開されています。ここにはナポレオン・ボナパルトとその著名な将軍たち、および歴史的重要人物の廊がおかれています。
大佐にはフランスの最高勲章である、レジオンドヌール勲章(L’ordre national de la légion d’honneur)も贈られます。
ローマ法王からもメッセージ
ベルトラーム大佐の英雄的行為は、フランス国外でも広く報道されました。
今回の事件を受け、ローマ法王は「このような事件が起こったことへの悲しみ、被害者とその家族への同情」を示し、さらに、ベルトラーム大佐の行為は「寛容で英雄的な行為」とメッセージを送っています。
大佐は享年44歳。ブルターニュ地方出身で、敬虔なキリスト教徒。大佐の母ニコルさんによると、忠誠心が高く、若いときから母国のためには労を惜しまない人だったとのことです。ニコルさんはまた、「息子は、キリスト教の、自らを犠牲にしても弱者を守る精神を貫いて、今回の行動をとったとおもいます」とも語っています。
執筆:マダム・カトウ