前回は外国語学習に役立つ読書のお話と、Aさんと一緒に取り組んでいる“Le Petit Prince”(星の王子さま)の読書レポートについて少しだけお話しました。
今回も引き続きAさんの読書レポートを通して、翻訳版ではなく原書から学ぶフランス語のニュアンスやリズム感についてご紹介します。
読書でフランス語のニュアンスやリズム感を学ぶ
“Le Petit Prince” の原書を読み始める前に、Aさんが「フランス語の長文はなんとなく意味がわかるので、なんとなく読み進めていってしまう。」と言っていました。特にAさんは英語が堪能なため、英語からの類推も働いて読めてしまうようです。
しかし、それでは勿体なさすぎます!文法にウルサイ筆者は段落を読むごとに「この動詞の活用は何ですか?」、「なぜこの活用なのですか?」、「ここにある○○は何ですか?」と、いちいち質問するのでAさんはきっと煩わしいと思ったことでしょう…。
でも、これが原書を読む醍醐味ではないでしょうか。特に過去形のバリエーションが豊かなフランス語のニュアンスをぜひとも感じ取ってもらいたかったのです。
そして“Le Petit Prince” は原書ならではのリズム感があります。同じ表現パターンや活用が繰り返されることで、翻訳本では表しきれないリズム感を醸し出しているのです。
こんな台詞は日本語訳で表現しきれない!
第1章を読み終えたところでAさんが「響きが美しく感じます。まるで韻を踏んでいるようです!」と感想を述べていました。実は私も初めて原書を読んだとき、一編の長い詩を読み終えたような気がしていたのです。ではここで、有名な王子さまの台詞と、そのニュアンスをご紹介します。
S’il vous plaît…dessine-moi un mouton ! (お願い…ヒツジの絵を描いて)
おや?王子さまは丁寧に S’il vous plaît. と vous を使っているのに、その後は dessine-moi と tu に対する命令形です。王子さまも子どもなので間違ってしまったのでしょう。なんとも可愛らしいこのニュアンスは日本語訳ではなかなか表現できません。
最後に
フランス語を学習している皆さんもじっくりと本を読んでみてはいかがでしょうか。語学学習において読書は本当におすすめです。ただ問題集を解くばかりではなく、リアルなフランス語に接する機会を増やしましょう!
筆者:Akiyo