「Tu vas au coin !」。フランスの学校で、何か悪さをした生徒に向かって先生がいう言葉です。日本だったら「廊下に立ってなさい!」となりますが、フランスでは怒られた子供は教室の隅っこで、壁の方を向いて立っていなければなりません。もちろん家でしかられるときにも「Va au coin !」。ちなみに中学校では、先生は一言「Sort !」と発するそうです。
この「Tu vas au coin !」で使われている動詞は「aller」。「行く」という日本語訳が真っ先に思い浮かぶ基本単語のひとつですが、「aller」には他にもたくさんの意味があります。日常会話でよく使われる表現をいくつかご紹介していきましょう。
まずは基本を確認
「aller」は不規則に活用が変化する「不規則動詞」。復習を兼ねて活用を確認しておきましょう。
Je vais – Tu vas – Il/elle/on va – Nous allons – Vous allez – Ils/Elles vont
「aller」に前置詞をつけ「~へ行く」と表現します。たとえば「私はパリに行きます」は「Je vais à Paris.」、「歯医者に行きます」は「Je vais chez le dentiste.」。使う前置詞は、後ろに続く場所を示す単語によって変わります。
また「aller」に動詞を続けると「~しに行く」や「~するつもり」など未来のことを表すことができます。街でばったり友人と会い「どこに行くの?」と聞かれたら「Je vais faire des courses.」(買い物に行くところなの)、週末の予定を尋ねられたら「Je vais rester chez moi et regarder des DVD.」(家にいてDVDをみる予定だよ)。このように、近い未来に起こること、また遠い先でも確実性のあることを表現する場合に使います。
「y」と一緒に使うと…
「aller」と中性代名詞の「y」を使えば、いろいろと表現できます。「y」 は「à + 物」を置き換えるときに使う代名詞。たとえば「Je vais à Lyon.」は「J’y vais.」と言い換えられます。
「J’y vais.」は「そこに行く」という意味ですが、出かけるときなどに「 J’y vais.」と言えば、「行くね」という感じになります。友人と話していて、帰る時間になったときは「Bon, j’y vais.」(じゃぁ、もう行くね)。
「さぁ行こうか」と場所を移動するときには「On y va ?」。夕食に招かれてそろそろ帰る時間になったとき、カフェなどで話していてお店を出ようかというとき、「On y va ?」と誰かが言うと席を立つ合図になります。
「Allez-y !」や「Vas-y !」は、何かを始めるときに「さぁやってみて」と声をかける表現。ためらっていてなかなか一歩を踏み出せない人に向けて発します。
また、「どうぞ」と何かを譲る時にも使います。スーパーで買い忘れたものを一つ二つ手に持って並んでいると、前の人が「Allez-y !」と先に並ばせてくれたりすることも。入口ではドアを押さえて「Allez-y !」と、先に通してくれたりします。
「ほら!」「さぁ!」「頑張れ!」
「Allez !」という一声で「ほら!」や「さぁ!」。小さい子供に向かって「Allez ! Allez ! dépèche-toi !」(ほらほら、早く急いで!)と言っている母親の姿をあちこちで目にします。「Allez, vas-y !」や「Allez, on y va ?」など組み合わせて使うこともできます。
もちろん、スポーツの応援にも「Allez !」(頑張れ!)は欠かせません。
次回に続きます
お伝えしたい「aller」の表現はまだまだあります。次回に続きますのでお楽しみに。
Allez, à la prochaine !
執筆 SAWA