今年の五月は記録的な雨量を計測したフランス。特に北部では季節の進みも随分遅く感じます。とは言っても植物たちのパワーはすさまじく、雨の合間にもすくすくと枝や葉は伸び放題。今日は気が付けばあっという間に野放図状態となるこの時期に、公園や庭園で気をつけたい”イラクサ”のお話をします。
イラクサって何?
白鳥にされたお兄さんのために11枚服をイラクサで織った話(アンデルセン童話『白鳥の王子』)がありましたよね?そう、それがこのイラクサです。でもここの読者の方なら、フランス名で「ortie」と聞いた方が分かりが早いかもしれません。という私もortieはオルティとして頭の中の語彙に加わったので、それがイラクサとつながるまでかなり時間がかかりました。
さてこのortie、見た目はこんな感じで青々と美しく特に凶暴そう?にも見えません。ところがこれが、触れると半端じゃない痛みなのです。ただのトゲではなくトゲを通してギ酸やヒスタミン、アセチルコリンなど皮膚を強く刺激するものが放たれ、なんとも攻撃的なのです。ガーデニングの丈夫な手袋をはめていながらもうっかり触ってしまったときは、しばらく痛みが消えませんでした。この痛みには痒みも伴っていて、一旦刺されるとかなり長く続きます。夏になると散策にもスカートや丈の短いパンツ姿になることが多いため、草むらに足を踏み入れる際は細心の注意が必要です。
イラクサに刺された時の対処法
ではイラクサに刺されたとき、その痛みを和らげるにはどうすればいいでしょうか。L’Express がおばあちゃんの知恵を挙げていたので紹介しましょう。
まず草花に詳しい方!そこらの茂みにあるスイバあるいはミント、カキドオシもしくはプラタナスの木の葉っぱを手でもんで、痛いところに押しあててください。もしすぐ帰宅できる場所で刺されたなら、台所へ直行しましょう。効果があるのは玉ねぎとヴィネガー。玉ねぎは二つに切って切り口を傷にあて、ヴィネガーはコットンに浸してそのコットンを傷に当てます。重曹があれば重曹に水を少し加え、クリーム状にしたものを傷に塗るのも良いそうです。草花の見分けはつかないし、遠出に玉ねぎやヴィネガーを持参するのも….という人にはチューブ入りのアロエヴェラジェルがお薦めです。アロエヴェラも痛みを和らげてくれる効果があるそうです。
さてこんなに痛いイラクサですが、料理にして食べてしまうことを思いついた強者もいて、レシピもいろいろ存在します。フランスで一番ポピュラーなのは、多分イラクサのスープでしょう。Youtubeにも作り方がアップされていますから、興味のある方は検索してみてください。味もなかなかのものだそうですよ。そういえばイラクサ入りチーズをオランダで食べたときは、美味だったのを思い出しました。
実はイラクサはヴィタミンや鉄分、カルシウムやマグネシウムも豊富な植物なのです。実際ハーブティは爪を強くしたり、母乳の出を良くするとも言われています。
まとめ
料理はしてみたいけど・・・収穫する勇気がなくてまだ私も試したことはありません。いつかはトライしてみたいと思っている食材のひとつです。試したことのある方!良ければ感想をお聞かせくださいね。
執筆 冠ゆき