6月26日 マクロン大統領、「Lifeline」乗船の移民を一部受け入れると表明 

2018.06.27

26日(火)、エマニュエル・マクロン(Emanuel Macron)大統領は、230人の移民が乗船しているとみられる、ドイツのNGO(非政府組織)「Lifeline(ライフライン)」が運航する救助船2隻に乗っている移民の一部をフランスに受け入れる、と発表しました。(写真はイメージ。Lifelineの船舶ではありません)

 

NGO「Lifeline」の問題とは

Mission Lifeline(ミッション・ライフライン)はドイツのNGOで、地中海を中心に、船で母国から逃げ出す難民や移民を救助する活動をしています。

北アフリカの地中海に面したリビアでは、毎日多くの人が粗末な船に乗り込み、ヨーロッパを目指し海へ出ていますが、転覆や飢え、劣悪な衛生状態などが原因で、海を渡り切る前に多くの人が死亡しています。

Lifelineはリビア領海で移民およそ230名を救助し、その後経由地としてイタリアを目指していました。しかし、反移民の姿勢で知られる、イタリアのマッテオ・サルヴィーニ(Matteo Salvini)内相が「人名は救いたいが、私はイタリア国民の安全を守るために報酬を得ている。アフリカから逃れる人々の生命を脅かす組織に協力することはできない」と発言し、Lifelineの寄港を拒否、Lifelineの活動を批判しました。

更に、「Lifelineは、不法移民の救助はリビア政府の責任とするイタリア沿岸警備隊の忠告を無視しして、移民を救助した」と強調し、イタリアへの寄港は認めず、船籍があるオランダで下船させるべきだとの考えを示しました。

 

以前にも別の救助船の寄港を拒否

サルヴィーニ内相は今回のLifelieの救助船の前にも、別のヨーロッパの慈善団体「SOSメディテラネ(SOS Méditérranée)」が運航する救助船「アクアリウス(Aquarius)」号のイタリア寄港も拒否しています。

このアクアリウス号は、リビア沿岸で、629名の移民を救助しました。サルヴィーニ首相はマルタが受け入れるべきだと主張しましたが、マルタ政府は、イタリア領海で救助されたためイタリアが受け入れるべきと、受け入れの押し付け合いをしていました。

このアクアリウス号はイタリア寄港を拒否されたのち、受け入れを表明したスペインへ向かい、移民たちを下船させることができました。

 

マクロン大統領がLifelineの移民たちの受け入れを表明

イタリアから受け入れを拒否されたLifelineが所有する救助船の移民たちですが、マクロン大統領が一部の受け入れを表明しました。

Lifilineの救助船は一週間海上で待つことになりましたが、乗っていた移民たちは、最終的に、マルタ、フランス、イタリアそしてポルトガルなどのEU加盟国6カ国に、数十名ずつ受け入れられることになりました。

移民の一部受け入れを表明したマクロン大統領ですが、一方で、リビアの沿岸警備隊が既に介入しているにも関わらず、それを無視し規則に反して救助活動を行ったLifelineを批判しています。

マクロン大統領は声明の中で「人命救助の名のもとで、いかなる規則も意味をなさないこのような状況を、我々は恒久的に受け入れることはできない。我々が地中海横断のリスクを減らすということは、結局のところ、人身売買業者の為に踊らされている」と述べました。

 

元老院では改正亡命・移民法案が採択される

26日(火)、会期中の元老院(Sénat 上院議院)では、ジェラ―ル・コロン(Gérard Collomb)国務大臣によって提出され4月22日に国民議会(Assemblée nationale 下院議院)で可決された、新たな「亡命・移民」に関する法案の採決がとられ、賛成多数で採択されました。

LR(Les Républicains 共和党)と中道派の議員197名が賛成票を投じ、LREM (La République En Marche ! 共和国前進)や左派勢力の139名が反対票を投じました。

これにより、難民を庇護する内容が拡大される反面、不法移民に対する締め付けが一層厳しくなります。

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一方国民議会では…

同じく26日(火)、国民議会では16時過ぎからフランソワ・ドゥ・リュジー(François de Rugy)議長のスピーチが予定されていましたが、その直前の15時半の時点ではほとんどの議員が出席していたにも関わらず、16時10分には一斉に多くの議員が退席するという珍事が見られました。

同時刻の16時は、ロシアで開催されているワールドカップ2018のフランス対デンマーク戦の開始時刻と重なり、試合を見るために多くの議員が退席したものと見られています。

試合は0-0で引き分けています。

執筆:Daisuke

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