2023年 フランスが「ワイン生産量世界一」へ返り咲きのワケ

2023.10.10

フランスワイン生産量世界一に返り咲きか

2023年10月10日(火)、今年フランスは植物病害で生産量を落としたイタリアを抜き、ワインの生産量で再び世界一になりそうです。

 

生産量世界一のイタリア、ブドウの木に病害

フランス農業・食料主権省(Ministère de l’Agriculture et de la Souveraineté alimentaire)の統計部門が今月1日にはじき出した推定値によると、フランスの今年のワインの生産量は4,600万ヘクトリットル(1hl=100l)とほぼ昨年並みで、2018〜2022年までの平均値と比較すると3%ほど増えています。

一方、2015年から再びフランスを抜いてワインの生産量世界一のイタリアでは、ブドウの木につくカビ(べと病)の被害で、今年は4,300万ヘクトリットルと昨年の5,000万ヘクトリットルから大幅に生産量を落としています。

フランス、今年の世界一は「象徴的」

ボルドー大学(Université de Bordeaux)の教授でワイン経済の専門家、ジャン=マリー・カルドバ(Jean-Marie Cardebat)氏は、「(フランスが一位に返り咲いたことは)象徴的だから、注目に値する」と述べています。

なぜなら、国際ブドウの木・ワイン連盟(Organisation internationale de la vigne et du vin:OIV)の統計で、イタリアは2007年にワイン生産量世界一になってから、2011年と2014年を除きその座を維持し続けているからです。

教授曰く「今年のフランスの一位は、完全に状況によるもので、意図的なものではない」とコメントしています。

 

熱波に洪水、異常気象による影響、ワイン産地によりさまざま

イタリアの主要農業組合「コルディレッティ」(Coldiretti)によると、今年は気象という面で非常にややこしい年で、豪雨と熱波のため全国的な推定生産量は14%減、中央南部では最大50%も減少しています。

コルディレッティは、10月に入って「気温が穏やかで乾燥し、朝夕の寒暖の差が激しい」という、ブドウの木の栽培に適した気候になってきたことから、収穫量が改善することを期待しています。

フランス、地域によっては良好

今年の異常気象による影響は、フランスでも甚大でした。

農業省統計部によると、ボルドー(Bordeaux)地方および南西フランスの畑はイタリア同様病害に見舞われ、ラングドック・ルシヨン(Languedoc et Roussillon)地方は熱波と干ばつでいずれも生産量を落としています。

今年の収穫の様子↓ボルドー地方のシャトー

その一方で、他の地域、特にボルドー地方のすぐ北、コニャック(Cognac)で知られるシャロント(Charentes)地方では、収穫が良好だと指摘しています。

収穫減も需要減で価格は安定

ボルドー大学のカルドバ教授は、ワイン市場への影響について「中国経済の失速で需要が弱含み」しているため、イタリアの生産量が減ったことは「ワインの販売価格への下げ圧力が避けられるから悪いことではない」との見解を示しています。

ブドウ収穫のシーズンは終わりを迎えましたが、2023年は当たり年になるでしょうか?

執筆:マダム・カトウ

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