2023年9月15日(金)、食品の価格を据え置きしたまま、品質を下げたり量を減らすなどして販売する「シュリンクフレーション」(Shrinkflation:英語)が横行している、とフランス経済相ル・メール(Bruno Le Maire)大臣が発言するほど、パン屋やスーパー、レストランやテイクアウト店などで「なんとなくサイズが小さくなった」と思うことが増えています。マクドナルドの人気バーガー「ビッグ・テイスティー」もシュリンクフレーションだというSNS投稿が増える中、その真偽をフランス・アンフォ(France Info)のジャーナリストが調べてみました。
Big Tastyリニューアル版、「前より小さくなった」の投稿相次ぐ
マクドナルドの売れ筋商品で、他のバーガーよりグルメでパティ(バーガー用の平たく焼いた牛挽肉)が大きいことが売りの「ビッグ・テイスティー」(Big Tasty)ですが、リニューアルバージョンが発表されました。
新バージョンでは2枚目のパティを追加することが可能になっています。
料金は以前とほとんど変わらないものの、「サイズが小さくなった」とSNSに投稿が相次いでいます。
ハンバーガーの重さ、全体で約30%減、価格は微減
これを受け、フランスアンフォのジャーナリストが調べたところ、同社のホームページに記載されている以前のビッグテイスティの重さ354グラムに対し、実際店舗で購入したバーガーは225グラムと約37%も軽くなっていました。
さらにビッグマックで調べたところ、218グラムと記載された重さに対し、199グラムとこちらも8.7%減っていました。
パティだけの重さを測ったところ、45グラムに対し実際は33グラムと28%も減らされていました。
確かに「手頃な価格にした」と料金が値下げされていますが、額にすると1ユーロ(約157円)未満で、消費者に対しては説得力に欠けるようです。
マクドナルド側、値下げを強調したが…
これについてフランスマクドナルド社の広報は、「同社の単品商品のレシピの比重を変更することはしていません」と電話で回答していますが、「商品の重さ」という表現を回避し「レシピ」という単語を選び、新バーションの重さについても、終始「新しいレシピ」という表現を使っています。
同社は、新バージョンのビッグテイスティは「パティ1枚の商品の平均価格と比べ、非常に買いやすい価格に設定されている」と割安感を強調しています。
一部の店は価格も据え置き
確かにフランスアンフォのジャーナリストが調べたマクドナルド店の価格は、同社の説明通り、わずかとはいえ値下げされていました。
ところが、ウエスト・フランス紙(Ouest-France)によると、フランス国内のマクドナルド店のうち、値下げした価格に変更されていない店が多々あり、つまり価格を据え置いたまま量だけが減った、まさに「シュリンクフレーション」になっていました。
アメリカでは集団訴訟も
マクドナルド発祥の地、世界で最もハンバーガーの消費量が多いアメリカではこの件は死活問題のようです。
今年上半期のわずか6ヶ月間で、マクドナルド社やバーガーキング社といったファストフード大手を相手取った「虚偽広告」の集団訴訟が101件も提起されています。
執筆:マダム・カトウ