オペラ・バスティーユの監督、後継者の選考へ

2019.03.08

オペラ座バスティーユ

3月9日(土)と10日(日)、パリのオペラ・バスティーユ(l’Opéra Bastille)の次期監督に関する選考が行われます。現在の監督であるステファン・リスネール氏(Stéphane Lissner)は2014年からの任期を2021年までに終える見通しです。

 

パリのオペラ座

パリには「オペラ座」が二つあります。一つは9区にある「パレ・ガルニエ」(Palais Garnier)です。こちらは19世紀後半に完成した伝統的なバロック建築であり、豪華絢爛な外観はパリを代表する建造物のひとつです。

一方、1989年にフランス革命200周年を記念して12区に作られたもう一つの「オペラ・バスティーユ」はモダンなつくりです。

どちらもパリ国立オペラ(Opéra de Paris)の公演が行われることで有名です。

オペラ・バスティーユの監督

現在、「オペラ・バスティーユ」の監督を務めているのは、ステファン・リスネール氏です。

彼はミラノにあるスカラ座(Teatro alla Scala)の芸術監督や、毎年7月にフランスで開かれる「エクサン・プロヴァンス音楽祭(Festival international d’art lyrique d’Aix-en-Provence)」の代表を務めるなどの経歴を持っていたことから、2014年にオペラ・バスティーユの監督に指名されました。

後継者の選考プロセス1

リスネール氏の後継者争いについてフランク・リステール文化大臣(Franck Riester, Ministre de la Culture)は、選考の透明性を高めるために新たな制度を導入することを発表しました。

選考に向けた専門委員会を設置し候補者の経歴を参照したうえで、文化大臣にそれぞれの良い点と悪い点を伝えるという方式です。

文化大臣による選考後は、マクロン大統領が後継者の最終決定を行います。

選考プロセス2

3月9日と10日には、選考委員会が候補者に対して面接試験を行う予定です。面接は20分のプレゼンテーションと40分の質疑応答で構成されます。

選考委員会の委員長は、電力事業を担うエンジー(Engie)の社長であり、マクロン大統領の側近であるジャン=ピエール・クラマデュ(Jean-Pierre Clamadieu)氏です。

他には、交響楽団からの代表やダンス、芸術界の有識者によって選考委員会が構成されます。しかし、誰一人として、オペラ座のような文化施設の経営経験を持つ人がいないという点で批判を受けています。

 

11人の候補者

リスネール氏の後継に名前が挙がっているのは11名で、そのうち5名が外国人です。

例えばブリュッセルのモネ劇場(Théâtre Royal de la Monnaie)の改築を行ったペーター・ドゥ・カルウェ氏(Peter de Caluwe)や、スペインのテアトロ・レアル王立劇場(Teatro Real de Madrid)の監督であるジョアン・マタボシュ氏(Joan Matabosch)など、伝統的な劇場の経験が豊富な人が並びます。

期待の星は?

フランス人候補者の中で期待されているのは、オリヴィエ・マンティ氏(Olivier Mantei)です。

彼はパリのオペラ=コミック座(l’Opéra-Comique)の監督を務めており、古典作品も彼の現代的な演出によって高評価を得ています。

また、ドミニク・メイヤー(Dominique Meyer)氏は2020年にウィーン・オペラ座(l’Opéra de Vienne)の監督を引退することから、経験値とタイミングの点で期待が大きいとされています。

文化大臣や大統領まで巻き込んでの後継者選び、さすが芸術大国フランス。選考の結果はいかに・・・?

執筆あお

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