10月18日(木)、鳥インフルエンザの影響で2016年から激減していたフォアグラの売上が今年は堅調に推移し、12月のクリスマス商戦を前に、業界に期待が高まっています。
2018年はフォアグラ人気復活の兆し
CIFOGフォアグラ用家禽業界(Comité interprofessionnel des palmipèdes à foie gras)会長のミシェル・フリュシェ(Michel Fruchet)氏は、「2018年のフォアグラの売上は、鳥インフルエンザで激減した過去二年間から初めて安定しはじめた」と発表しました。
フランス人の93%が食べるといわれているフォアグラの人気が、回復してきたようです。
鳥インフルエンザの影響で一時生産激減
2016年、2017年と2年連で続鳥インフルエンザが発生したため、フォアグラの原材料である家禽類(ガチョウ、アヒル)が大量に屠殺(とさつ)、焼却されました。2017年の生産量は10,950トンと、鳥インフルエンザが発生しなかった2015年の16,360トンから激減、そのため販売価格が上昇し、売上が半減する結果になりました。
安全確保に大きな投資
鳥インフルエンザの再発防止のため、過去2年間、フォアグラ業界関係者、飼育農家、加工業者および地方自治体などが一体となって衛生管理に大きな投資をしています。具体的には、さまざまな飼育形態にあわせて生産ルールを刷新して、最低年一回、3月から7月にかけて血清検査し、飼育地での感染を避けるための管理などの安全確保の強化です。
今年はフォアグラの小売価格を据え置き
これらの投資を含め、昨年のフォアグラ業界は3億5千万ユーロ(およそ451億円/1ユーロ:129円計算)の損失を出していますが、フリュシェ会長は「今年は小売価格の値上げはしない」とアピールして、まずは消費者に対しフォアグラへの信頼回復を優先している様子が伺えます。
フォアグラの年間売り上げの40%は12月
フランスのクリスマスや年末のディナーの「主役」とも言えるフォアグラですが、鳥インフルエンザの影響があった2017年でも、1年間の売上の40%が12月に上げられており、年間の売上の良し悪しは、ほぼクリスマス商戦にかかっているといっても過言ではありません。
12月3日から「フォアグラ週間」を開催
フォアグラの安全性のアピールとクリスマス商戦に勢いをつけるべく、フォアグラ業界は今年から「フォアグラ週間」を12月第1週にフランス全土で開催します。
今年は12月3日~9日まで行われますが、この期間、フランス各地のレストランでフォアグラや鴨のマグレなどを使った料理にシェフたちが腕を振るいます。また幼少時からフォアグラの味を覚えてもらおうと、子供向けの料理教室の開催も予定されています。
執筆:マダム・カトウ