毎年、バカンスシーズン前から動物愛護団体がペットの飼い主へ啓蒙活動を続けていますが、今年捨てられたペット数はすでに過去最高記録を更新しました。
パリとその近郊ですでに1600匹
動物愛護団体SPA(La société protectrice des animaux)によると、増加が顕著になり始めた2015年に比べ、すでに今年捨てられたペットの数は猫で20%、犬で6%増えています。
SPAによると、特にパリを含むイル=ド=フランス地域圏(Île-de-France、人口約1200万人)の保護施設はパンク状態で、1300匹の最大収容数に対し、今年はすでに1600匹が保護されています。
SPAのニコラ・デュマ氏(Nicolas Dumas)は、ラジオ局EUROPE1のインタビューに答え、「私たちの動物保護施設はフランス全国に56箇所ありますが、今年はどの施設もすでに一杯で、受付を断っている施設もあります」と、保護施設の危機的な状況を説明しました。
バカンスに連れて行けないから、、、
動物保護施設には、7月から8月の2ヶ月間に取る夏の長期休暇(3週間~4週間)の前に、ペットを連れてくる飼い主が後を絶ちません。
パリの西31キロ、イヴリーヌ県(YveLines)オージュヴァル(Orgeval) のSPAの保護施設にも、毎日犬や猫が連れて来られます。その中の一匹、5歳の子犬、ジャック・ラッセル・テリア (Jack-Russel)のイリス(Iris)の飼い主は、「夏の長期休暇にペットを連れて行けないから保護施設に連れて来た」、と話しています。
施設で働くカミーユ・グラセ(Camille Grasset)さんによると、保護されたペットは獣医の診察を受け予防接種をしているかを確認したうえで、新しい飼い主を探します。
捨てられるのは圧倒的に猫
また、捨てられるのは「圧倒的に猫が多い」とグラセさんは話しています。
SPAの発表によると、イル=ド=フランスでは、猫だけで1日に20匹保護される日もあります。
動物を飼うこと=長期的な責任
残念ながらフランス人は長期的な責任を放棄する傾向にあり、動物を捨てる行為が増えているのは、飼い主の収入や社会的地位などにかかわらず、フランス国民全体の傾向となっているようです。
デュマ氏は、「一部のフランス国民は、動物を飼うということがどういうことなのか、未だにわかっていない。動物を飼ったら、犬で少なくとも15年、猫で20年は飼い主としての責任が発生するということだ」と、憤りを隠せません。
啓蒙活動もむなしく、現場は負担増
同氏はまた、「フランス国民には、動物愛護に関する教育がまだまだ足りてないと痛感している。できる限りの啓蒙活動を続けているが、やってもやっても毎年捨てられる動物の数に驚くばかりだ」と、フランス国民の意識改革の難しさを語っています。
一方施設では、20人の社員に対し300匹の動物が収容されるなど、一人ひとりの負担が増えており、動物保護の現場が厳しい状況に陥っています。
執筆:マダム・カトウ