フランス国鉄スト、利用者団体が定期代返金要求

2018.04.19

INFO SNCF

4月2日の夕方を皮切りに、毎週2日、3ヶ月間予定されているフランス国鉄のストライキに対し、利用者団体が定期代の全額返金を求めています。団体はすでに4万の署名が集まったと発表しています。

 

通勤客、我慢の限界

ヨーロッパで最も利用者の多い、パリを含むイル・ド・フランス(Île-de-France)のRER(Réseau Express Régional 首都圏高速鉄道網)ですが、ストライキ中は平均3本に1本、それ以外の郊外列車(Transilien)は平均して5本に2本しか運行しません。長期にわたるストライキに通勤客は多大な迷惑を被っています。

フランス全国交通利用者連盟、Fnaut (Fédération nationale des associations d’usagers des transports)のクリスチャン・ブカレ(Christian Boucaret)氏によると、「利用客はだんだんうんざりしてきています。ストライキも最初の2日間は、代休や有給休暇の消化で何とかするとしても、有給休暇はストライキの日程のように延長はされません。」しかも、「清掃業やカフェのウエイターなど、収入が決して高くない社会的な弱者にストは最も不利益です。こういった職業の人は在宅勤務ができず、勤務地に毎日なにがなんでも時間通りに行かなくてはなりません」と述べています。

また、「当初理解を示していた人々も、だんだんストに共感できなくなり、さらには鉄道以外の交通機関にシフトする人もでています」とも語っています。

 

在宅勤務が普及したが・・・

ストライキ期間の対処の仕方は、会社により様々ですが、「ストの日は在宅勤務で訪問のアポイントは取らず、お客さんへの連絡はメールと電話」、「話し合いはビデオ会議などで済ませる」などが主流になってきました。

とはいえ、在宅勤務が可能なのは一部の会社員のみで、それ以外の多くの人々は、乗り切れない満員電車に無理やり乗車したり、通勤に普段より1時間以上も費やすなど、不愉快な思いをしています。

 

あきらめモードの利用客、「定期代全額払い戻し」を支持

「フランス国鉄は途切れ途切れのストを繰り返していますが、利用者にとっては無秩序が続いています。よって、ストが始まった4月2日夕方からの定期代全額の払い戻しを要求します」と、フランス全国交通利用者連盟に加盟する団体、ラ・ヴィニェット・デュ・レスペ (La Vignette du respect)の代表、アントワーヌ・パヴァマニ(Antoine Pavamani) 氏はメディアに発表しました。

また、「特にイル・ド・フランスの通勤客は、いつもは公共交通機関の不具合やストにあきらめモードですが、今回は私たちの要求が具体的だから支持されたのではないか」と、署名がすでに4万人近く集まった理由を語っています。

フランス全国交通利用者連盟に加盟する団体の代表者たちは、イル・ド・フランスとそれ以外の郊外列車の国鉄関係者、および交通省(Ministère des Transports)とすでに協議に入っており、大枠では合意していると公表しています。

 

ストの影響?世論のフランス国鉄改革支持率上昇

最新の世論調査で、フランス国民のストへの支持は約48%と発表されていますが、「過去20年のデータからすると、これはかなり少ない」と、調査会社イフォップ(IFOP)はコメントしています。

逆に「政府はフランス国鉄の改革を貫くべき」と、政府の進める国鉄改革を支持した人は61%に上り、前回3月のストライキ前に行われた調査から10%も増えています。

 

今後のストの行方は?

フランス国鉄職員側の昨日4月18日のストライキ参加者は19.8%と、開始当初より15ポイント低下、運転手など列車の運行に欠かせない職員たちの参加率はまだ60%前後と高いとはいえ、当初の77%からは後退しており、今後の行方が注目されます。

執筆: マダム・カトウ

オンラインフランス語学校アンサンブルアンフランセは、プロの講師によるマンツーマンのスカイプレッスンが1回1500円~受講できます。いつでもどこでも手軽に受講できる利便性と生徒一人一人にカスタマイズされた質の高いレッスンが好評です。→フランス語無料スカイプ体験レッスンはこちら メールマガジンであなたのフランス語学習をサポートする情報をお届けします。フランス語メールレッスン