フランス 組閣から14時間でルコルニュ首相辞任 どうなる今後

2025.10.07

仏マクロン大統領、内閣改造を発表 現状路線維持2025年10月7日(火)、着任からわずか1ヵ月、新内閣メンバーを発表した翌日の10月6日、ルコルニュ首相は辞任し、内閣はわずか14時間で総辞職しました。今年すでに首相が3人交代しており、マクロン政権は行き詰っています。政治的混乱が長引くことによる経済への悪影響が懸念されるなか、追い詰められた大統領の打つ手は限られています。

 

辞任のルコルニュ首相、8日まで連立内閣形成で野党と交渉

ルコルニュ氏は辞任演説で「どの政党もまるで過半数を取っているかの如く、党の政策を一歩も譲らない状態」つまり実質分裂状態にある議会の現状から、予算や重要な法案の可決は不可能だと判断したことを明らかにしています。

マクロン大統領は辞表を受理したものの、新たな内閣形成のため野党との最終交渉を続けるよう指示しました。「交渉に失敗した責任はとる」と大統領は述べた模様ですが、具体的な内容は明らかにされていません。

伝統右派色のルコルニュ内閣

もともとは共和党に所属していたルコルニュ首相ですが、5日夜に発表した内閣のメンバー18人のうち、右派保守の共和党(LR:Les républicains)議員が4人、元共和党議員で中道右派が8人で、野党極左及び極右はさっそく内閣不信任案の提出をちらつかせていました。

さらに、マクロン政権で長らく経済相を務め、膨大な財政赤字を残した責任を問われているブリュノ・ルメール(Bruno Le maire)が、重要ポストである軍事大臣(ministère des Armées)に任命されたことは、共和党の批判にさらされていました。

 

中道左派の社会党、連立に意欲 年金改革がネック

伝統的左派の社会党、および共産党は、右派色とマクロン派色の強いルコルニュ首相の内閣のメンバーに、やはり内閣不信任案提出の方向性を示していましたが、首相の辞任で方針が一変した模様です。

議会が解散になると、選挙で極右が議席を大幅に伸ばす可能性が大きく、そのため連立政権に前向きな姿勢を示しています。

党首オリヴィエ・フォール(Olivier Faure)氏は出演したテレビのインタビューに答え、「1年間で3人もの右派首相が辞任に追い込まれた」のは国民の意思を無視したからだと批判しました。

昨年の選挙結果で、極左を含む左派連合(NUPE)が過半数には及ばずとも議席数で第一党となったことを挙げ、国民の左派支持を政権に反映すべきだと述べました。

しかしながら左派は、マクロン政権の改革の柱であり、すでに施行されている年金受給開始年齢の引き上げを白紙に戻すことを要求しているため、これまで連立は不可能とされてきました。

 

極左は大統領の罷免を訴え、左派連合の結成よびかけ

極左、不服従のフランス党(LFI : La France insoumise)は、政局不安により国民の70%以上が支持していないマクロン大統領の罷免及び議会の解散を訴えています。

同党はすでに選挙に向け、前回の国民議会選同様、左派連合の結成を呼び掛けています。

一方、解散、総選挙で票を伸ばす可能性が低く、連立で入閣を目指す中道左派の社会党は、極右とは距離を置き、左派連合への参加を今のところ否定しています。

 

議会解散、大統領選、極右党に追い風

ルコルニュ首相が野党との調整に失敗し、内閣が形成できなかった場合、国民議会を解散し総選挙に持ち込むことも手段の一つですが、昨年マクロン大統領が議会解散して行った総選挙で与党は大敗し、極右の国民連合(RN : Rassemblement National)が議席数で大幅に票を伸ばす結果に終わっています。

すでに2027年の大統領選で国民連合党の候補に投票すると答えた人が30%と最も多く、昨年から続く政局の混乱は、同党にとってさらに有利になると見られています。

そのため、同党は大統領の罷免、議会の解散を強く訴えています。

国民議会の急務は来年度予算の可決ですが、野党政党の関心は2027年の大統領選に移っているようです。

執筆:マダム・カトウ

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