フランス 9カ月で首相交代再び どうなる新内閣

2025.09.12

フランス新首相

2025年9月12日(金)、バイル首相の国民議会での信任投票否決を受け、39歳のセバスチャン・ルコルニュ(Sébastien Lecornu)首相が誕生しました。昨年国民議会の総選挙で過半数を失った与党は、内閣の形成にあたり、野党の内閣不信任案の提出を避ける必要があります。2026年度の予算が不成立のまま総辞職に追い込まれた前内閣同様、新首相の前途は厳しいとされています。

 

過去3年間で5人目のルコルニュ首相、続く政治的混乱

バイル内閣で国防大臣(Ministre des Armées)を務めたルコルニュ首相は、2017年マクロン大統領の就任で政務次官として入閣、9日の総辞職まで内閣に居続けた唯一の人物で、同政権での7人目の首相となります。

これは1981年~95年の14年間の任期中(注)に同じく7人の首相を出したミッテラン政権と並びます。(注)当時フランス大統領の任期は1期につき7年間

ルコルニュ首相は共和党員(Les Républicains)でしたが、2017年マクロン大統領が設立した共和国前進党(La République en marche、現在のルネッサンス党(Renaissance)に入党、支持率が低迷するマクロン大統領の周りに残る数少ない腹心といわれています。

新首相、最初の仕事は「内閣不信任」の回避

新首相は閣僚選びに先立ち、11日、昨年の総選挙で過半数なきまま第一党となった中道連合のルネッサンス党、モデム党(MoDem)、オリゾン党(Horizons)から、それぞれアタル元首相、バイル前首相、フィリップ元首相、さらにバイル首相の信任投票で半数以上が「信任」に投票した共和党の重鎮らと会合を行い、政策的な合意点を探り基盤を固めを計っています。

 

極右、極左の二大野党、「国民議会解散」か「マクロン辞職」の二択のみ

昨年の国民議会総選挙で最も得票数の多かった極右、国民連合党(Rassemblement national)および第3党の極左、不服従のフランス党(La France Insoumise)の2党は、選挙敗退を理由に「マクロン大統領の辞任」、もしくは「国民議会の解散による総選挙」以外に大統領に残された道はないと、早速内閣不信任案を提出する構えを見せています。

祝日の2日削減を含む労働法の改定や、失業保険受給条件の厳格化などを盛り込んだバイル前首相の緊縮予算案は、国民の反感を買い、野党の強い反発を受け、その結果、同首相は信任投票を否決され、辞職を余儀なくされました。

続く政治的混乱の中、ルコルニュ首相は、フランスが抱える財政赤字の削減を盛り込んだ来年度予算成立に向け、各方面との調整が急務となっています。

 

鍵を握るのは、社会党?

バイル首相に「ノン」を突き付けた左派社会党及びエコロジー党は、新首相の選抜にも強い反発を示しています。

社会党党首オリヴィエ・フォール(Olivier Faure)氏は、「新首相が過去8年間の(マクロン大統領の)政策と決別しない限り、内閣不信任案を提出する」と述べています。

しかしながら、党内で「直ちに」新内閣への不信任案の提出という議論には至っていません。

そのため、社会党とはまだ交渉の余地が残されていると思われますが、一方では超富裕層への追加課税を主張する同党との歩み寄りは難しいと見られています。

慎重な内閣形成、今月末には発表か

年内に来年度予算を成立させるには、遅くとも10月には審議を開始しなければなりません。

そのため、月末には発表されることになると見られています。それまではバイル内閣の閣僚が留保されます。

執筆:マダム・カトウ

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