2025年2月12日(水)、今週末はバレンタインデー。デートの際、緊張を和らげるためにお酒を飲むのは普通のこと、という考え方はどうもフランスのZ世代には当てはまらないようです。
フランス人の3割が「デートでお酒を飲む」
出会いアプリ「バンブル」(Bumble)のアンケート調査で、デートの際に緊張をやわらげ、自然にふるまえるように「お酒を飲む」と答えた人は29%でした。
ところが、この傾向もミレニアル世代、Z世代と若者になればなるほど当てはまらないことが明らかになっています。
若者は「ドライ・デーティング」
デートの際にお酒を飲まない「ドライ・デーティング」(英:Dry Dating)は、クリスマスや年末年始の飲みすぎを理由に1月に禁酒する「ドライ・ジャニュアリー」(英:Dry January)のコンセプトをデートに応用したものです。
デート、特に初めてのデートは緊張するものです。
カフェやバーで、まだよく知らない相手と会話をしながら、どんな人なのか、なにが好きなのか、自分と気が合うかどうかを探っていきます。
その際、「嫌われたらどうしよう」という自信のなさや気恥ずかしさを隠し、平静を装うためにお酒の力を借りる…そんな考え方はもう過去のことなのです。
ドライ・デーティング自体は最近始まったトレンドというわけではありませんが、出会いアプリ「ティンダー」(Tinder)が2023年に実施したユーザー対象のアンケート調査によると、回答者の42%が「(デートの際に)お酒を飲まない方が本物の関係を築くことができる」と答えています。
さらに40%の回答者が「確実な関係を築ける」、39%が「会話の質が高まる」と考えていることがわかりました。
出会いアプリ「バンブル」も、ミレニアルとZ世代のユーザーのうち3人に一人(29%)がデートはアルコール抜きの方が「より誠実な出会いが期待できる」と回答したと発表しています。
フランスの若者、理想のデートはピクニック、カフェのテラス席は「ダサい」
ベビーブーマー世代にとってデートの「定番」スポットはカフェのテラス席でしたが、これはどうもミレニアル世代やZ世代にはもう時代遅れなのかもしれません。
彼らは相手と一緒にスポーツやカルチャーをテーマにしたアクティビティに参加するといった、活動型のデートを好みます。
「ティンダー」の調査でこれらの世代は「理想的なデートスポット」に「公園で(お酒抜きの)ピクニック」(41%)や「自然の中で散歩」(39%)を挙げています。
ノンアルデート、女性は「無用の後悔」防止に
一方で、アクティビティ参加型のデートにうんざりしている女性もいます。特に若い女性たちの中に「自分がやりたくないことはやらない」という傾向が顕著にみられます。
より安全でお互いを尊重するデートを好む傾向は、男性にも広まりつつあります。
男女問わず、ドライデーティングの普及は「偽りない本物の出会い」を独身者が求めていることを象徴していると、脳科学者で性科学者のオロール・マレ=カラス(Aurore Malet-Karas)氏は説明しています。
さらに、ドライ・デーティングデートのメリットとして、お酒を飲まないことで自分をよりコントロールでき「翌朝の後悔がなくなった」を挙げた女性が41%もいました。
飲酒のジェネレーションギャップ、Z世代はノンアル嗜好
フランスにおけるアルコールの消費量は年々減少しており、2022年から23年にかけて3.8%も減っています。今年年初にスタティスタ(Statista)社が行った調査によると、
世代別にみるとベビーブーマー世代の17%~44%がワイン、ビール、蒸留酒などを定期的に飲むと答えているのに対し、ミレニアル世代は16%~38%、そしてZ世代はわずか10%~24%と、ブーマーたちの半分しかお酒を飲みません。
親世代の世界観を刷新したい
フランスのZ世代は、親の世代、つまりフランスの「黄金の30年間」(”30 glorieuses“)に生まれたベビーブーマーたちの法外な富を追い求める世界観を拒否し、より健全で社会の常識に縛られず、世界との新たなかかわり方を模索している、と脳科学者マレ=カラス氏は分析しています。
執筆:マダム・カトウ