2024年4月9日(火)、パリ五輪まであと120日あまり、開会式だけで十数万人の観客がパリを訪れる一大イベントの開催にホテルはどこも満室かと思いきや、実は期待したほど埋まっていないようです。
オリンピック期間のパリ、観光客に避けられている?
パリの中心、試合会場近くに位置するホテルのオーナー、ファビエンヌ・アルドゥアン(Fabienne Ardouin)氏は「開会式の日の部屋はまだ40%も空いています」と嘆いています。しかも、1か月まえから一件も新規の予約が入っていません。
同氏は理由として、インフレによるフランス人の購買力の低下や、パリ市内の交通規制などの発表によるイメージダウンを上げています。
オリンピック運営委員会も大幅キャンセル
パリ8区にあるホテルのオーナー、エマニュエル・バルバ(Emmanuelle Barbat)氏は、フランスオリンピック委員会と契約し、満室になると期待していました。
ところが、一か月前、契約書で認められている通り、一部の部屋がキャンセルになりました。キャンセルで失った売り上げ見込みは23万ユーロ(約3,794万円/1ユーロ=164円)にものぼります。
オリンピック委員会は、契約時ホテルに対し客室の80%を同委員会用に抑えることを条件にしていました。最終的に、バルバ氏のホテルは抑えた数の43%がキャンセルされました。
現在空室になっている部屋の表示価格は450ユーロ(約73,000円)ですが、今後間違いなく値下げされるでしょう。オーナーは「空室になるよりいい」と話しています。
個人のアパート、エアビー、強気の値段を維持
一方、エアビーアンドビー(Airbnb)などで貸し出されているアパートの賃貸は、値下げされる様子はありません。
大手プラットフォームから数字の公表がないため、埋まり具合は不明ですが、シャンゼリゼ大通り(Champs Élysées)にある普段なら一泊407ユーロ(約67,000円)で貸し出されているアパートは、オリンピック期間2,600ユーロ(約426,000円)と約6倍に値上げされています。当然、借り手はまだ見つかっていないようです。
パリ全体で空室50%も、損はしない
大手会計事務所のオリヴィエ・プチ(Olivier Petit)氏は、「一般観光客が減ったとしても、オリンピック期間の客室単価が高いことで売り上げは十分に伸びる」と述べ、ホテルは通常より儲かるとみています。
一般的にあまり知られていませんが、パリのホテル業界では夏休み期間はオフシーズンに当たります。バカンスシーズンのためビジネス客がいないからです。料金も5月~6月、9月~10月など見本市などが盛んにおこなわれるシーズンのほうが高く設定されています。
今年はパリオリンピック開催でオフシーズンの夏休みに高い料金を払う宿泊客がくるわけですから、満室にならずとも例年より売り上げが高いことは間違いありません。
執筆;マダム・カトウ