「発音規則」シリーズ、最後はエリズィオンです。リエゾンもそうでしたがこのエリズィオンも、いかにもフランス語らしい規則と言えるかもしれません。
アポストロフになる
ご存知の通り me , te , se , le , que などの e で終わる短い単語や、限定的に la , si などの単語で、母音が落ちてアポストロフに替わる (m’, t’, s’, l’, qu’) ことをエリズィオンと言います。他の二つに比べるとちょっと癖がありますね。
フランス語で定冠詞つきで書けば l’élision。まさにここでエリズィオンが起き、la → l’ となっています。
エリズィオンが起きる理由は?
これもなんでそうなるのか、ちょっと考えただけではわかりません。けれど実は意外とシンプルで、発想はリエゾンと同じなのです。つまり「母音衝突を避ける」のが目的として常にあるのですね。
ただリエゾンが「二つの母音の間に子音をはさむ」のに対し、エリズィオンは「二つの母音のどちらかを消す」のが異なるところです。
では「母音衝突」を嫌う理由は??
そもそも、なんでそんなに母音衝突を嫌うのでしょうか?
それはフランス語特有の「発音しやすさの基準」にあります。
フランス語において発音しやすいのは、子音と母音が一個ずつ交代で現れるときだといいます(なんだか少し日本語にも似ていませんか?)。これは「CV構造」といいます。
すこし難しい説明になりますが、子音(consonne)を「C」、母音 (voyelle)を「V」とすると、「CVCVCV…」と続くことです。
だから「VV」になったらCを挟んで「VCV」にしたり(リエゾン)、「CVVC」のVを一つとって「CVC」にしたり(エリズィオン)するのです。
最後に問題です
ところで、エリズィオンでいちばん省かれやすい母音字はなんでしょうか?
もちろん e ですね。
このアルファべはなかなかの問題児で、ここでは扱いきれないので別の機会に詳しくお話しします。
執筆 アンサンブル講師Hibiki