今回はドイツのようなフランスのお話。不思議な不思議なお話をすることにいたしましょう。
フランス語にはありえない地名
いきなりですが、この上の写真を見てください。トラムの行先を表示した電光掲示板ですが、一番上と二番目の駅名を読んでみようとすると、妙に口がモゴモゴと変な感じになりませんか? 特にフランス語を学習中の方は「H」の扱いが分からない!と思われませんか?
では、次の写真。
「rue des étudiants (学生通り)」の下。何やら見慣れぬ文字配列が…。「Stüdentegass」。ステュダン…スチュデ…ステュデンテガッス。な…何語?! 語尾に「ガッス」なんて、フランス語だったら絶対ありえない! そんな独り言を口にしたくなりませんか…?
ドイツとの国境の街
それもそのはず。ここはドイツとの国境の街、ストラスブール(Strasbourg)。
花と運河の街。ドイツ国境沿いのアルザス地方で最大の街です。激動の歴史上、何度もドイツになったりフランスになったりを繰り返し、現在はフランスでありながらドイツの文化が色濃く残る街…。他国と陸地で国境を有さない日本出身の僕には、なんとも不思議な場所です。
ドイツの地名をフランス読みに
アルザス地方の地名にはドイツ語名がそのまま残っていて、それをフランス語風に発します。例えば、一番上の写真の一番上に表記されていた「Hoenheim Gare」。この地名はドイツ語由来なのです。「heim」 が特徴的ですね。ドイツ語で「家、住い、家庭」という意味があります。ドイツ語であればホーエンハイムと読むのですが、フランス語ではエナイムになってしまうわけです。
Hoenheimの真下にある「Neuhof Rodolphe Reuss(ノイホフ ロドルフ ロイス)」という、とってもドイツ語的な響きを持つ名前。フランス語読みでは「ヌェオフ ロドルフ…」と、なんだかしっくりこない発音になってしまうわけです。
ドイツ由来の地名がたくさん
他にも、
水色のtram B の横に書かれた行先「Lingolsheim (リンゴルシャイム)」。なにかこうフランス語らしからぬ地名ですよね。
そしてアルザス地方最大の都市「Strasbourg」もドイツ語では「Strasburg」と表記し「シュトラスブルク」と少しごつごつした感じ(個人の感想です)の音に変わります。
フランス名とドイツ名を併記
さて、そんなシュトラスブルク…いや、ストラスブールの街を歩いていると、通りの名前の多くに「フランス語名」と「ドイツ語名」の両方が表示されているのを発見できます。
フランスの街にいるのに、なんだか不思議な感じがしますよね。
たくさんの「国境の街」があるフランス
フランスは、周りをベルギー、リュクサンブール、ドイツ、スイス、イタリア、モナコ、スペイン、アンドラなど、多くの国と陸地で国境を有しています。
Googlemapより引用
それぞれの国境の街には独自の訛りや言葉があったり、文化や人も違います。地図を眺めながら、ここにはどんな言葉があるのかなあ、なんて考えるのも楽しそうですよね。
今回ご紹介したアルザス地方を地図で探して、他にはどんな地名があるのか、おもしろい地名を発見したらぜひこっそりとDaisukeまで教えてくださいね!
では、本日はこのへんで… Auf Wiedersehen ! A très bientôt !
執筆 Daisuke