家賃や光熱費に加えて、毎日の食費もかかるフランスでの学生生活。物価高や円安が続くなか、「食費を少しでも抑えたい」と感じることも多いのではないでしょうか。そんな学生生活を送る方に知ってほしいのが、フランスで食品ロス対策と学生への食料支援を行う団体「リンキー(Linkee)」です。
リンキーではスーパーや飲食店などから消費期限が近い商品などを回収し、学生向けの食料支援として無料で配布しています。食品ロスを減らしながら、学生の生活を支える仕組みになっているリンキー。その活動内容から実際の利用方法までを詳しく紹介します。
リンキーって?
リンキーは、2016年から活動するフランスの団体。食品を必要としている学生と、販売できなくなった食品を抱える事業者をつなぐ、食品ロス対策×食料支援の仕組みをつくっています。
回収するのは、スーパーや商店、パン屋さん、ケータリング会社、イベント関連事業者などから出る余剰食品。特に、賞味・消費期限が近いものなど、まだ食べられるけれど通常の販売ルートには乗せにくい食品などが対象になります。
集めた食品は、食料支援を必要とする学生へ配布。リンキーは現在、パリを含むイル・ド・フランスのほか、リヨン、リール、ボルドー、モンペリエ、ナント、トゥールーズ、マルセイユなどで活動しています。
調査から見える学生生活のリアル
リンキーの活動を知るうえで興味深いのが、「20歳であること(Avoir 20 ans)」と題して毎年行っている学生の生活実態調査です。リンキーの利用者を対象に収入や生活費・住居・学業・健康などについて調べており。5回目となる2026年は2万5000人以上に調査が行われました、
過去の調査から見えてくるのは、学生の経済的な困難が”食費が足りない”という問題だけではないということです。
2025年版では、食料支援を利用する学生の4人に3人が奨学金を受給していなかったほか、約30%が勉強に必要なパソコンを十分に用意できていないと回答。また、4人に1人が経済的な理由から学業の中断を考えたことがあるとされています。またアルバイトの時間が増えることで、授業に参加できなかったり試験前に十分な復習ができなかったりする学生もいます。
だからこそ、学生が安心して学び生活するための食料支援は、社会全体で考えていきたい大切なテーマ。リンキーの活動は、そんな学生たちの暮らしを身近なところから支える取り組みのひとつと言えます。
申し込みは簡単!気になる利用方法はこちら
実際にリンキーの食料支援を利用するにはどうすればいいのでしょうか。基本的な流れをまとめました。
1.リンキーの利用者アカウントを作る
2.希望する配布会場を選んで申し込む
3.学生証や在学証明書など、在学を確認できる書類を持って会場へ
4.自分の袋を持参して、食料の入ったパックを受け取る
リンキーではすべての学生が対象と案内されており、1回の配布につき1人1パックまで。何度でも申し込むことができます。配布できる数には限りがあるため、都合が悪くなった場合はほかの人が利用できるようキャンセルすることも呼びかけています。
配布されるのは、スーパーや地域の商店などから回収された食品。内容はその時々で変わるため、毎回同じものが入っているわけではありません。野菜や果物、パンなど、その日に集まった食品を組み合わせたお楽しみボックスのような感覚で利用できるのも特徴です。
配布場所は?
リンキーでは、都市ごとに食料配布会場が設けられています。
たとえばパリでは、13区のESS’Pace、18区のLa Maison Bleue、20区のSmart Foodなどで配布が行われています。配布時間は会場によって異なり、夕方から夜にかけて設定されていることが多いようです。
トゥールーズやモンペリエでも行われており、モンペリエでは大学キャンパスなど複数の会場が設けられています。
ただし日時や会場は変更されることがあります。利用する際は、リンキー公式サイトで自分の住んでいる都市の最新情報を確認し、事前に申し込むようにしましょう。
もらった食材、どう使う?
「無料でもらえるのはうれしいけれど、普段買わない食材が入っていたらどうしよう」という人には、リンキーが公開するレシピがオスススメです。
リンキーはフランス・ベジタリアン協会(Association Végétarienne de France)と協力して、配布された食品で手軽に作れるレシピをまとめた冊子も制作しています。ポイントは、特別な調理器具を必要としないこと。
とても便利で実用的な内容なので、ぜひ参考にしてみてください。
実際の利用例
ここからは、以前私が利用していたボルドーでの食料配布の様子を、実際にもらったものの写真とともにご紹介します。
まず、申し込みは毎週決まった曜日に届くメールから行っていました。次回の配布枠が開放されたことを知らせるメールが届いたら、希望する会場を選んで申し込むだけです。都市によっては、申し込み開始からわずか10分ほどで定員に達してしまうこともあり、毎回メールの受信後すぐに申し込むよう気をつけていました。
配布日には多くの学生が訪れ、会場に長い列ができることも。私の場合、配布場所と自宅がそれほど近くなかったこともあり、できるだけ確実に受け取れるよう配布開始の1時間ほど前に到着して、なるべく列の前のほうに並ぶようにしていました。

ボルドーでのある日の配布 右上はサラダ、左下の紙袋にはパンが入っています
ボルドーでは米やパスタ、パンなどの主食が毎回のように含まれていたほか、野菜も種類・量ともに比較的多くありました。そのほか缶詰や食用油などの食品や、ポケットティッシュやアルコールスプレーといった日用品が配布されることも。
もちろん配布される物はその日に集まった余剰食品によって変わります。また会場によっても違いがあるようです。日によって内容には差がありましたが、ボルドーは私がその後利用した別の都市と比べると全体的に充実している印象でした。
「今日は何が配られるかな?」というのも、リンキーを利用する楽しみのひとつでした。
学生なら、まずはLinkeeに登録してみよう!
リンキーは、食品ロスと学生の暮らしという、一見別々に見えるふたつの問題をつないでいます。「食材をもらえると助かる」という人も、「食品ロスを減らす取り組みに関心がある」という人も、まずは自分の街にリンキーの配布会場があるかチェックしてみてはいかがでしょうか。
学生証とマイバッグは忘れずに!
執筆:hana












