フランス 外国ルーツ4人に1人、それでも親の母国語話さず

2025.10.24

2025年10月25日(金)、フランス国立経済統計研究所(INSEE:インセ)は、フランス国籍所持者のうち外国生まれの人、および外国人の数を公表しています。そして、別の調査によると、外国籍、または外国で生まれた親を持つフランス人の4人に1人が、親の母国語を話さないことがわかりました。

 

フランスの人口の11%が外国籍、移民は10%

インセは2024年のフランスの人口統計における外国人数の推定値を発表しました。それによると、人口合計6,840万人に対し、外国人数は600万人と全体の8.8%を占めています。2年前の2022年の人口は6,802万人、うち外国人は全体の7.8%を占める531万人でした。

外国人数の内訳は、外国生まれで外国籍が510万人(452万人、+12%)フランス生まれで外国籍が90万人(79万人、+14%)でした。

※カッコ内は2022年値、対2022年比%

「フランス生まれ」のフランス人は減少、人口増は「移民」と「外国人」が牽引

一方、2024年のフランス人の内訳は、フランス生まれでフランス国籍を取得することでフランス人となった人を含むフランス人は5,980万人(6,022万人、-0,7%)、外国生まれでフランス国籍を取得している人が260万人(249万人、+4%)となっています。

「移民」とは?

この人口統計の中で「移民」と認識されるのは、現在の国籍にかかわらず「外国生まれ」の人にあたり、外国籍でもフランス生まれの人は除外されます。

2024年、フランスの移民数は推定値で770万人(701万人、+1.3%)、つまりフランス人の約10,3%が移民ということになります。

 

フランスへの「適応」をめざし、親が子に母国語を教えなかった世代

調査会社OnePollが今年行った調査で、両親もしくは祖父母のいずれかが外国出身の家庭で育った人のうち、25%が親の母国語を話せないことが明らかになっています。

理由をその親たちに聞くと、主に「フランス社会に適応し、差別を回避するため」と回答しています。

特に、親の母国語が邪魔をして、子供の学習能力に悪影響をあたえ、「学校の成績が悪くなるのを恐れて」教えなかったことが調査結果でわかります。

第二次大戦後、職をもとめて来た南欧移民

戦後、フランスにはポルトガル、イタリア、スペインから多くの移民が職を求めて入ってきました。

この時代にベルギーに移民したイタリア系の歌手、クロード・バルゾッティ(Claude Barzotti、本名フランチェスコ)は、1983年のインタビューで、子供の時、イタリア人だということでいじめに遭い、学校で適応するのがいかに困難だったかを語っています。

 

時代は変わり「親の母国語習わなかった」ことを後悔、全体の8割

統計をみても明らかですが、多くのフランス人は外国のルーツを持っています。

また、現代では多言語を話すことは強みとなっています。そのため子供のころに親の母国語を学ばなかったことを残念に思う人が増えています。

先述のOnePollの調査では、1,000人のうち85%の人が「後悔している」と答えています。

言語学の専門家によれば、自然に言葉を覚えられるのは7歳ぐらいまでといわれています。幼少期に親の母国語を覚えることで、自分のルーツや文化への理解が深まり、アイデンティティの形成にも役立ちます。

さらに、家族間の絆を強め、子供は世界への関心を持つきっかけにもなります。

ちなみに、「後悔している」人のうちの9割が、自分の子供に親の母国語を教えると答えています。

筆者がパリに来た20数年前、アパートの管理人といえば、たいていはポルトガル系の移民でした。確かに彼らは、フランス語しか話していませんでした。

フランス人の姓もイタリア系やスペイン系と思われるものもよく見かけますが、だからといってそれらの言語を話す人は少ない印象です。

執筆:マダム・カトウ

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