住居探しは、フランス生活のスタートで最初に取り組む大きな仕事のひとつです。フランスでは不動産会社を通して契約する方法と、大家さんと直接契約する方法の2パターンがあります。今回は、フランスで部屋を借りるときの手順と注意点、そして希望の住まいを見つけるポイントを紹介します。
日本と違う?フランスの住居探しと賃貸契約
日本ではあまり見かけませんが、フランスでは不動産会社を通さずに契約する「個人大家」も一般的です。とはいえ、個人といっても複数の物件を所有しているプロの大家が多く、契約書はきちんと作成されます。一方、不動産会社を通して契約する場合は仲介手数料がかかりますが、公平性があり安心です。
また、学生の住居探しは新学期前(6月、9月)に活発になります。気に入った物件があればすぐに契約に進めます。このとき注意したいのが、入居時には住居保険( assurance habitation )の加入が義務付けられているという点です。契約や引き渡しの前に必ず準備しておきましょう。
しかし、夏休み中のフランス学生は、契約して家賃も払って住める状態になったとしてもすぐに引っ越さないケースが多いです。地元でアルバイトやバカンスに出かけて夏を満喫し、休みが終わる8月末に入居するのです。いかにもバカンス好きのフランスらしい習慣だと感じました。
フランスでの部屋選び 住居スタイル3つを比較
フランスの住まい選びの選択肢は多様にあります。ここでは、一人暮らし、ルームシェア、ホームステイのそれぞれのメリット・デメリット、さらに住居探しに便利なサイトを紹介します。
1.一人暮らし
メリット:自由度が高く自分のペースで暮らせる。
デメリット:トラブルが起きた時の対処は自分頼り。
見やすいおすすめ物件紹介サイト
https://www.bienici.com/
2.ルームシェア
メリット:一人暮らしより家賃が安く、設備も良い場合が多い。
デメリット:キッチンやシャワーを共有するため自由度は低い。
ルームシェアを紹介するサイト
https://www.lacartedescolocs.fr/
3.ホームスティ 個人宅の間借り
メリット:フランス文化に触れられる。設備は揃っている場合が多い。
デメリット:部屋の間借りになるため自由度は低い。
短期から長期の間借り情報サイト
https://fr-fr.roomlala.com/
最初は、幅広く情報を集めて、少しずつ自分の希望の形態を固めていくのもいいかもしれません。
気に入った物件を見つけたら必要書類を準備!
賃貸物件情報は常に更新されています。気に入った物件を見つけたら、迅速に対応できる状態にしておくことが大切です。まず、フランスの入居審査で必要な主な書類はこちらです。
①身分証
②収入証明(給与明細や納税証明)
③保証人の情報(保証人の収入証明 過去3ヶ月の給与明細)
貸す側が最も重視するのが、家賃がきちんと支払える借主かどうか?になります。すでに社会人で仕事をしている方なら①の提出で済むことがほとんどですが、学生や研修生は③の保証人が必要です。
フランスには政府が提供するヴィザル ( Visale )という無料保証制度がありますが、不動産会社や個人大家によっては受け付けてくれない場合もあるので確認しましょう。
不動産会社も個人大家も賃貸の貸し出し広告に “必要書類をまずメールで送ってください” と書いてあるので速やかに送れるようにしておきましょう。
こんな物件は要注意!内見でここをチェック
フランスでも契約する前に住居の内見ができるようになっています。おもしろいのは、住人がまだ退去していなくても内見が可能なところです。過去に私が内見で出くわした例を紹介しましょう。
■ 駅から徒歩2分、部屋の内装もきれいで家賃もリーズナブル。しかし内見に行ってみると駅の周りの治安がイマイチ。
■ 街の中心街、立地が良くて部屋もきれい。内見に行ってみると窓がなく、入り口のドアしかない物件。
■ 職場に近く、家賃もリーズナブル。しかし、物件の状態がかなり古く、近くにスーパーがないなど利便性に欠ける。
賃料だけを見て部屋選びをすると失敗することがあります。治安・日当たり・利便性などをしっかり確認しましょう。
気になる物件の住所を聞くと教えてくれる場合がほとんどですので、書類提出する前に地区をチェックするのもいいですね。できれば1人ではなく友人や知り合いと一緒に内見すると、別な視点を持つことができ包括的に物件を判断することができます。
在フランス日本大使館も、住居に関する注意点をまとめています。
◎アパートなどの賃貸借契約トラブルを避けるために
まとめ
住居探しはフランス人にとっても大きな労力と時間を要するものです。 焦らずに、内見を通して自分の条件を整理することも大切でしょう。常に新しい物件情報が出てくるので、好奇心を持ちながら探してみてくださいね。
執筆 YUKO