2025年7月11日(金)、14日(月)はフランス革命記念日、「パリ祭」(Le 14 Juillet/Fête nationale française)とも呼ばれるこの日、シャンゼリゼ大通り( では毎年恒例の軍事パレードが行われます。今年の主賓はマクロン大統領が5月に行った東南アジア各国訪問の一環として訪れたインドネシアです。今年の軍事パレードには、今回初めて「サイバーアタック」の特殊部隊も参加します。パレードは14日の9;55スタート、12時まで。
シャンゼリゼに軍人ら7,000人、軍用機63機、戦車、軍用車247台
昨年は7月末のパリ五輪開催直前とあって、恒例のシャンゼリゼ大通りではなくフォッシュ通り(
)で規模も大幅に縮小して行われましたが、今年は再びシャンゼリゼ大通りで2年ぶりにいつもの規模で開催されます。今年のパレードには、例年同様、5,618人の軍人、憲兵、警察官、消防士、および士官学校の学生、200人からなる騎兵隊など合わせて7,000人ほどが参加します。
この中に今年初めて「サイバー憲兵隊」(brigade numérique de la gendarmerie nationale)が参加します。2018年に結成され、現在フランス全国で7,500人がネット犯罪を取り締まっています。
2020年のコロナ禍に「激増した」取り扱い件数は月7,000件ほどでしたが、現在50,000件に膨れ上がっています。
恒例の航空アクロバット飛行、開幕は異例の凱旋門直下
この日のスターは何といってもパトルイユ・ド・フランス(PAF:Patrouille acrobatique de France)と呼ばれるフランス航空宇宙軍のアクロバットチームです。
毎年、この飛行隊が凱旋門の上空に現れ、赤白青とフランス国旗色の煙を出しながらシャンゼリゼ大通りを一瞬で通りすぎると、式典が開幕します。
無名戦士の墓の炎、100周年
オープニングセレモニーは例年コンコルド広場に設けられた大統領や閣僚、主賓らのための公式観覧席前で行われますが、今年は凱旋門直下にある無名戦士の墓(Tombe du Soldat Inconnu)の前で実施されます。
この墓に毎日18時に炎を点火する「凱旋門の永遠の炎委員会」(Comité de la Flamme sous l’Arc de Triomphe)は、1925年の結成から今年で100周年を迎えました。
この記念すべき節目に合わせ、今年のパレード開催の開幕は凱旋門の下で行われることになりました。
当日、委員会長クリストフ・ドゥ・サン=シャマ(Christophe de Saint-Chamas)は、マクロン大統領より剣を渡され、墓には第一次世界大戦の退役軍人や戦没者追悼のシンボルである、フランスの矢車菊が献花されます。
軍用機65機がパリの空をパレード、9分でパリに到着
観客にとっては一瞬で通りすぎる空のパレード。この日空の部隊は12の飛行場に待機します。最も遠い飛行場はパリから100キロ離れたところにありますが、9分でパリに到着します。
65機の軍用機が40秒ごとにシャンゼリゼ上空に現れるために、戦闘機は6km間隔で飛び、搬送につかわれる大きな機体はスピードが遅いため3.6km間隔をあけて飛行します。
主賓にインドネシア、東南アジアとのパートナーシップの確立狙い
5月に東南アジア諸国を歴訪したマクロン大統領は、主賓にインドネシアを選びました。トランプ政権による関税措置を受け、アメリカ以外の国々との関係強化を図る一環として、同国との地政学的、経済的パートナーシップを確立することを目指しています。
5月28日、インドネシア訪問中には共同でガザの即時停戦を要求する声明を出しています。
また、フランスはインドネシア最大の兵器の供給国となること、そして経済交流を多岐にわたって行うと発表しています。
筆者は毎年この日は軍用機の轟音で起こされ、なんとか窓から首をだして空を見上げ、「なにも見えない」というのを繰り返しています。今年こそ早起きして見える場所まで行きたいものです。
執筆:マダム・カトウ