2024年9月10日(火)、パリ五輪は8日のパラリンピックの閉会式をもって全日程を終了しました。市中開催の開会式、エッフェル塔やコンコルド広場などのランドマークに作ったスタジアムなど、試合を見ていなくても雰囲気が味わえた祭典の名残を惜しむ声が上がるなか、フランスチームの選手やボランティアらのパレードが14日に開催されます。エッフェル塔の五輪マークをはじめ、オリンピックの遺産がどうなるのか話題になっています。
エッフェル塔の五輪シンボル、2028年まで残したいパリ市、賛否両論
今年の6月からエッフェル塔に掲げられた五輪のシンボル、大成功を収めたパリオリンピックの余韻を少しでも長く残したいというパリ市、イダルゴ市長(Anne Hidalgo)は先週、五輪シンボルを少なくとも2028年のロサンゼルス大会まで掲げておきたいとの意向を発表しました。
しかしながらフランスの歴史的建造物を守る会や、塔を設計したギュスターヴ・エッフェル(Gustave Eiffel)の子孫からは歴史的建造物の「ありのままの姿を変えてしまう」ため反対されています。
エッフェルの子孫は妥協案として、次のロサンゼルス五輪にバトンを渡すという意味をこめて、今年の年末まで維持することを提案しています。
五輪マークは「商標」と反対派、年末までは残される可能性大
反対派が特に問題視するのは、五輪マークがオリンピック協会が所有する「商標」であることです。つまり商業目的のシンボルを歴史建造物に掲げることは不謹慎であるというわけです。
これに対し、パリ市パリオリンピック、スポーツ担当助役のピエール・ラバダン(Pierre Rabadan)氏は「五輪は何よりもオリンピックの象徴であり、パリ市の歴史の一瞬間、平和、友愛、団結の象徴です」と反論しています。
双方の話し合に決着がつくまで、五輪マークの付いたエッフェル塔がいつまで見れるのかは不明ですが、現在かかっている五輪マークは重すぎて長期的には塔が損傷する可能性があるため、9月中に現物と同じ大きさでもっと軽量な五輪に付け替えられることになっています。
凱旋門に掲げられたパラリンピックの象徴「アジトス」
一方、凱旋門に掲げられたパラリンピックのシンボル「アジトス」(Agitos)、そもそもパラ五輪のシンボルが五輪とは別にあることを知らない人も多いと思われます。
アジトスはラテン語で「私は動く」という意味で、赤、青、緑の三日月のようなマーク(フランスでは「クロワッサン」(croissant)型と呼ぶ)は、パラリンピック競技の三つの動きを象徴しています。
アジトスに関しては、パリ市は凱旋門に掲げられたこのシンボルを、シャンゼリゼ大通り(Champs-Élysées)の下方にあるド・ゴール将軍(général de Gaulle)の像付近に移動させることを検討しています。
14日、シャンゼリゼで五輪選手のパレード、凱旋門でコンサート
14日、昼頃からシャンゼリゼ大通りで五輪選手らがパレ―ドを行い、夕方には凱旋門のあるエトワール広場でコンサートが行われます。
参加は無料ですが、事前予約が必要です。
五輪で使用した旗、ダンサーの衣装、グッズなどが1~60ユーロ
15日のアルザス地方ミュールーズ市(Mulhouse)を皮切りに、フランス各地でオリンピックで使用した機材やグッズ、選手村のレストランのナプキンやカップ、ボランティアのユニフォームやキャップなど様々な物の販売会が開催されます。
金額の上限は60ユーロ(約9,480円/1ユーロ=158円)と決められており、一般市民が購入できる価格に設定されています。
開会式に登場したシルバーの騎士と馬、フランス各地で展示
開会式で登場し、セーヌ川を駆け抜けたシルバーの騎士とその馬「ゼウス」、五輪期間中はパリ市庁舎で一般公開されていましたが、フランスの複数の都市から貸し出しの依頼が殺到しており、当分の間フランス各地で展示されることになるようです。
最終的には、騎士のまとった衣装に関してはパリ市立ガリエラ美術館・モード&コスチューム博物館(Musée de la Mode au Palais Galliera)に展示される可能性が高いと発表されています。
2024年パリ・オリンピック、開会前は無関心だったり、批判的だったフランス国民も多々いましたが、選手の活躍だけでなく、心に残る開会式や運営、治安維持などどれをとっても素晴らしい大会となり、終わってみると名残惜しいようです。
執筆:マダム・カトウ