フランス政府認定の試験であるDELF(Diplôme dʼétudes en langue française)B1は、日常生活に支障のないレベルのフランス語力があるかを確かめるのによい指標となります。
このシリーズ記事では、DELF B1試験の内容や対策をご紹介しています。第4回目の今回は、DELF B1試験の筆記試験のうち読解問題について徹底的に分析します。
(シリーズ第1回では、DELF B1試験の基本情報を、第2回では過去問と参考書の探し方を、第3回はリスニングの内容と対策を紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。)
DELF B1の読解問題
第1回の記事で見たように、筆記試験はリスニング(Compréhension de l’oral)・読解(Compréhension des écrits)・作文(Production écrite)の3セクションで構成されています。
読解試験は45分で、大きく2つの問題が出ます。第1問は短文かつ複数の材料のなかから必要な情報を見つけ出します。第2(・第3)問では新聞記事などの内容理解が問われます。
以下では、France Education InternationalのHP上にある過去問 DELF tout public – niveau B1を分析しながら、DELF B1試験の特徴を見ていきます。
第1問の内容と対策
1問目は、複数の広告や案内文から必要な情報を読み取る問題です。
問題文には「あなたは〇〇で働いています(Vous travaillez à ….)」や「あなたはヴァカンス中です(Vous êtes en vacances…)」といった状況の説明があります。また希望の予算や条件が指定されています。例えば外国から来た取引先とのディナーに適したレストランを選ぶ、指定の時間や予算などに合ったツアーを見つける、などです。
次に、提示されている広告や案内文を読んで、問題文の条件に合うかどうか考えてマルやバツをつけていきます。この案内文などには、例えばレストランや旅行先でのオプションツアーについて、日時や場所・サービスの内容や特徴などが書かれています。
注意点
まず「探すべき情報」は何かを理解します。
ここでは、問題文にある複数の条件に合うか合わないかを、それぞれ回答する必要があります。条件に合うレストランやツアーを1つ選べばいい、というのではないので細かい情報も見落とさないようにします。
もちろん広告や案内文を読んでから、問題文にある条件をチェックする順序でも良いと思います。
いずれにしても、枠で囲われておりパッと目に入りやすい広告や案内文に気を取られて、「探すべき情報」を見落とさないように注意してください!
おすすめの対策法
語彙や文法については、日時や場所の表現、二人称複数(vous)の直接法現在形、devoirやpouvoirなどの表現を勉強すると良いでしょう。また観光や文化活動などの基本的な語彙も必要です。
解法に慣れるためには、過去問や問題集を活用できます。またフランス語の新聞やフリーペーパー、ニュースサイト上にある案内や広告に目を通すように心がけるようにしましょう。
第2問の内容と対策
2問目では300語〜400語ほどのニュース記事が出題されます。
過去問では「子どものバイリンガル能力」「季節労働の住居」「地域的なアクセントとイントネーション」といったテーマについて、当事者の意見や経験などをまとめた記事が出されています。
実施回によって、2つの記事についてそれぞれ設問がある場合と、記事は1つで10題ほどの設問が出される場合があります。
解き方
第1問と同様、記事を読んでから設問を見ても、設問を先にチェックしてから記事を読んでも良いとは思うのですが、おすすめは後者です。
設問を見るだけでテーマや論旨・構成がわかるので、記事を読む時の良いガイドになるはずです。
記事の読み方
記事を読むときにおすすめなのは、客観的な内容と、具体例とを区別できるように印をつけることです。
主語に中立の il や vous、また不特定の誰かや集団(「フランス人」など)がある文、あるいは受動態の文は、客観的な内容が書かれていることがあるので要注意です。
一方の具体例は、特定の個人が主語、あるいは引用文・間接話法を使って書かれることが多いです。引用文は「« »」などの引用符(ギュメ)・書体がイタリック体(斜体)になっている・「:」(コロン/ドゥ・ポワン )などが目印です
以上の文法項目を復習しておくと、記事がある程度長くても、設問の主語や態に合った部分をスムーズに見つけ出すことができるでしょう。
おすすめの対策
語彙や文法の総合的な力をつけることはもちろん、過去問や参考書を上記の方法で「戦略的に」「時間内に」取り組むトレーニングを積むことをおすすめします。
インターネット記事の活用
過去問に出題されているフランス語のメディアは、無料でインターネット記事を配信しています。
例えばヴァン・ミニュット(20 minutes France)やレクスプレス(L’Express)の他、フランス・アンフォ(France Info)、テレビ局べーエフエム(BFM TV)などのサイトで「文化(Culture)」や「社会(Société)」などのカテゴリを見てみると良いでしょう。
可能であればダウンロードあるいは印刷して、10分〜15分で内容の理解と、客観的な情報と具体例の区別をできるようにしておくと、読解練習ができますね。
おわりに
この記事ではDELF B1試験の読解問題を分析し、解法やおすすめの対策をご紹介しました。
どの問題も、過去問や参考書で形式をつかむことはもちろん、広告やインターネット記事などを活用すれば日頃からトレーニングできるものです。
「次の試験は3ヶ月以上先」という方も、語彙力や文法力を伸ばしつつ、これらの材料に積極的に触れてB1レベルの材料に慣れていくことをおすすめします。レッスンでもぜひリクエストください!
次回の記事では、作文試験の内容と対策についてご紹介します。お楽しみに!
執筆あお