フランス政府認定の試験であるDELF(Diplôme dʼétudes en langue française)B1は、日常生活に支障のないレベルのフランス語力があるかを確かめるのによい指標となります。
このシリーズ記事では、DELF B1試験の内容や対策をご紹介しています。第3回目の今回は、DELF B1の筆記試験のうちリスニングを徹底的に分析します。
(シリーズ第1回では、DELF B1試験の基本情報を、第2回では過去問と参考書の探し方を紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。)
DELF B1リスニング試験の内容
第1回の記事で見たように、筆記試験はリスニング(Compréhension de l’oral)・読解(Compréhension des écrits)・作文(Production écrite)の3セクションで構成されています。
このうちのリスニングは約25分で3つの問題が出されます。最長で6分の録音が流れ、問題に対する解答を選びます(新しい出題形式では、自由記述が廃止されました)。
まずは過去問分析!
France Education InternationalのHP上にある過去問 DELF tout public – niveau B1を分析しながら、リスニングの特徴を見ていきましょう。
1問目は2人(tuをつかう友人同士)の会話を聞き取ります。過去問では約1分半の長さで、1人ずつの発言が多くても3文ほどとテンポよく進みます。
テーマは週末に予定している誕生日のお祝いについてです。現在〜未来の、個人的で身近な話題といえます。
2問目はラジオ番組でのインタビュー。つまりvousをつかう関係での会話を聞き取ります。
約2分の長さで、司会(ラジオDJ)が質問していく形式ですが、内容のほとんどがインタビュイーによる発言です。
テーマは「視覚障害者(les malvoyant(e)s)の支援」です。社会的な話題といえ、第1問より語彙のレベルが高いです。
3問目もラジオ番組中のインタビューです。約2分の長さです。
同じ形式をとる第2問と大きく異なるのは、司会は冒頭に登場するのみであとはインタビュイーによるモノローグである点です。
テーマは「サラリーマンの昼食支援」。こちらも社会的な話題といえ、語彙のレベルは第2問と同じくらいです。
リスニング対策その1:問題文をすばやく読み、内容を予測する
第1問から第3問まで、長さやテーマは異なります。しかしどの問題でも録音を聞く前に1分程度、問題文を読む時間があり、そのあとに2回録音を聞きます。
録音は2回流れますが、1回目と2回目の間はほとんど休みがありません。そのため「文字で書かれた情報」を冷静に仕入れることができるのは、録音を聞く前の1分間のみです。
その後「耳から入ってくる情報」に集中するためには、問題文からさまざまな要素をできる限り想像しておくことが大切です。
問題文を読む時のコツ
具体的には、テーマや登場人物・場面設定を確認すると良いでしょう。とくに、会話形式の音源では登場人物、インタビュー形式の音源ではインタビュイーや所属団体を把握することで、事実関係をつかみやすくなります。
このためには、1分間で要領よく単語をひろい短文を理解する力をつけると良いでしょう。
脳内再生する
登場人物については、問題用紙に書かれている固有名詞(名前や団体名)の発音を脳内で再生してみるのがおすすめです。この作業によって、聞いたことのない名前などでも聞き取れる確率が上がります。
短い時間で脳内再生できるよう発音の規則を再確認することと、何より脳内再生の癖をつけることが大切です。
リスニング対策その2:選択肢の選び方
設問の選択肢は3つずつ用意されています。
これらの選択肢には、流れてくる通りの単語や言い回しばかりではなく、言い換えや代名詞が含まれています。つまり聞こえてくる情報を自分で処理し、正しい選択肢を見つける必要があります。
このような聞き方ができるようになるためには、語彙力のアップ(特にフランス語からフランス語への言い換え)や過去問での繰り返し練習が効果的です。
最後まで聞く
また正しい答えを選ぶためには、録音の最後まで聞く必要があります。
録音の途中で当てはまりそうな選択肢に気づいたとしても、「最後にひっかけがあるかもしれない!」と冷静に最後まで聞きましょう。
おわりに
この記事では、DELF B1試験のリスニングの内容と対策を紹介しました。
リスニング試験には、会話を聞き取る問題と、インタビューなどを聞き取る問題があります。どちらにも対応できるよう、得意と苦手を見きわめて集中的に練習してみてください。
またリスニング対策には「聞き取る力」だけではなく、「すばやく問題文を読み取る力」や「言い換え力」が必要です。他のセクションの対策とリンクさせながら、勉強していきましょう。
次回の記事では、読解試験の内容と対策についてご紹介します。お楽しみに!
執筆あお