2023年1月24日(火)、「料理のオリンピック」とも言われる世界最高峰の料理コンクール「ボキューズ・ドール」(Bocuse d’Or)が昨日リヨン(Lyon)で開催され、デンマークが金賞を受賞しました。前年の優勝国フランスは5位にとどまりましたが、参加24カ国の中、唯一の女性シェフ、弱冠25歳のナイス・ピロレ(Naïs Pirollet)が初めてシェフとしてチームを率い、今後の活躍が期待されます。
デンマーク、3度目の受賞
「ボキューズ・ドール」に輝いたデンマークは、2011年、2019年に続き今回3度目の金賞受賞を果たしました。
世界最高峰の賞を受賞したこのチームを率いたのは、数々の料理コンクールで優勝経験のある41歳のベテランシェフ、ブリアン・マーク・ハンセン(Brian Mark Hansen)です。
ハンセン氏は現在、コペンハーゲンの北にある小さな村で、ミシュラン一つ星レストラン「スレロド・クロ」(Søllerød Kro)のヘッドシェフを勤めています。
世界から24カ国が参加したコンクールは2日間にわたり、レストラン業の見本市「SIRH」の会場、リヨンのユーレクスポ(Lyon Eurexpo)で行われました。
デンマークは、今回のコンクールで最も印象的だった「アンコウの尾をつかったメインディッシュ」と「かぼちゃを使った子供メニュー」の2つのカテゴリーでいずれも1位を取っています。
フランス、唯一の「女性」で「最年少」シェフ、ナイス・ピロレ、今後に期待
フランスチームを率いた25歳のピロレ氏は、各国のチームを率いたシェフ24人中で唯一の女性かつ最年少でした。
リヨン出身で権威あるポールボキューズ料理学校卒、昨年はフランス代表のシェフ、ダヴィ・ティソ(Davy Tissot)氏率いるチームの一員として参加しています。
Demain commence le SIRHA et le décompte vers la finale Bocuse d’Or. Naïs Pirollet défendra les couleurs de la France et celles de l’Institut Paul Bocuse. #BocuseDor #SIRHAhttps://t.co/0xy3QWCfJy
— Institut Paul Bocuse (@InstitutPBocuse) January 18, 2023
厳しい練習、トップアスリート並み
世界最高峰のコンクールに参加するには、シェフたちはトップレベルのアスリートのような訓練を行います。
時には食材なしで、ひたすら包丁使いなどのジェスチャーを何度も繰り返し練習するため、今年は審査員として参加したティソ氏は「F1レーサーのようだ」とその厳しさについてコメントしています。
金賞こそ逃しましたが、ピロレ氏のチームはカテゴリー「フィード・ザ・キッズ」(feed the kids)で審査員特別賞を受賞しています。
Le plateau de Naïs Pirollet est sorti, découvrez-en toute la beauté “De nos racines aux abysses marines…”
Photo par @alleycat_photograph #BocuseDor #Sirha2023 @TeamFrBocusedor pic.twitter.com/kaI1GV8nHd
— Institut Paul Bocuse (@InstitutPBocuse) January 23, 2023
悲壮感ないチャレンジャー、若者に「勇気を持って挑戦を」
金賞は取れませんでしたが、「悲しくはありません。ここまでたどり着けたことが私にとっての勝利」とあっさり答える25歳は、「私の今回の挑戦は、若者たちには強いインパクトがあったと思う」と述べ、いかに「勇気を持って一歩を踏み出すこと」が重要かというメッセージを伝えたかったと語っています。
「挑戦することで前に進むことができる」と自分の信条を語るピロレ氏に、フランスのガストロノミーの明るい未来が見えるようです。
執筆:マダム・カトウ