2022年12月20日(火)、第93回ミス・フランス2023(Miss France)に、ミス・グアドループ(Miss Guadeloupe)のインディラ・アムピオ(Indira Ampiot)さんが選ばれました。毎年12月、クリスマス前に行われるこのフランス最大のビューティーコンテストですが、「女性を外観だけで判断する」、「セックスシンボル扱いする」といった批判が年々高まっており、今年から一部の参加資格が変更されています。21世紀のミス・フランス、今後どのように進化していくのかが注目されます。
ミス・フランス人気衰えず、視聴者730万人
今月17日に行われたミス・フランス2023最終選考会は、映画タイタニックやハリーポッターのような派手な演出が施され、15人の中から今回のミス・フランスがアカデミー賞並みにドラマチックな演出で発表されました。
毎年テレビで生中継が行われていますが、昨年の視聴率は約17%と高く、視聴者平均730万人、ミス・フランス発表の瞬間は800万人を超えるなど人気のほどがうかがわれます。
ミスフランス応募資格、年齢制限、子供の有無など見直し
昨年までの応募資格は、18歳から24歳まで、身長170センチ以上、子供のいない独身女性でした。
今回ミス・フランス地方大会を勝ち抜き最終選考会に残った30人は、18歳から26歳までの医大生や商学部の学生、整体師や看護師、メーキャップアーティストなど様々なプロフィールの女性たちでした。
今大会より年齢制限がなくなり、18歳以上の女性なら誰でも応募できることになり、また既婚者かどうかや子供の有無は問われなくなりました。
トランスジェンダーも応募可能
最低身長の基準170センチこそ維持されましたが、特記すべきは、トランスジェンダーの応募が認められたことです。
今年ミス・フランス協会の会長に就任したアレクシア・ラロッシュ=ジュベール(Alexia Laroche-Joubert)氏は、「戸籍に女性と書かれていれば参加を認める」と話しています。
タトゥーも解禁、母親の参加はなし
今年の6月に行われたミス・パリ(Miss Paris)選考会に、20歳のトランスジェンダー、アンドレア・フュレ(Andréa Furet)さんが参加し、惜しくも優勝は逃しましたが2位に選ばれています。
これまでは目に見える場所にあるタトゥーもタブーとされていましたが、今年から認められています。
Miss France 2005で一位に輝き、今年からミス・フランス協会の部長に就任したシンディー・ファーブル(Cindy Fabre)氏はインタビューに答え、「今の時代タトゥーを入れていない若い女性を探す方が難しい」し、「ミス・フランスも今の時代を反映するべきです」と応募資格の改正理由を説明しています。
ミス・フランスに選ばれた時から1年間、同協会と契約を結び、様々な行事への参加など、「ミス・フランス」としての生活を送らなくてはなりません。
これに関してファーブル氏は「お母さんのミス・フランスが出ても、ちゃんとオーガナイズすれば務められると思います」と話しています。
今大会では子供のいる母親の参加はありませんでしたが、「以前に比べ、父親が家事や育児を負担するのは当たり前になってきている」ことから、今後応募者が出てくると期待されます。
「女性を外見で判断」は時代錯誤で差別的か?
女性の権利を守るフェミニスト団体、「オゼ・ル・フェミニズム」(”Osez le féminisme !”)の代表、ファビエンヌ・エルクリ(Fabienne El-Khoury)氏は、「応募基準を多少変更したところで、カビだらけの壁にちょっと白いペンキを塗っただけ」のアラ隠しにしかならないし、そもそもミスフランスの開催自体「大昔の価値観で作られた時代錯誤のコンクール」と痛烈に批判しています。
同氏はまた、フランスの女性のほとんどが「とても到達することのできないような外見」で女性の価値を判断するのは「差別的」だとし、ミス・フランスの開催そのものを巡って「オゼ・ル・フェミニズム」はパリ郊外の労働裁判所に訴えを起こしています。
執筆:マダム・カトウ