12月24日(金)、オミクロン株が猛威を振るい1日の感染者がもうすぐ9万人に達するフランスでは、楽しみにしていた家族とのクリスマスイブが「コロナ陽性」で台無しになった人が続出しています。仏フリーペーパー大手20minutes紙がこういった人達の証言を集めたところ、アパートでひとりぼっちで過ごすハメになった多くの読者から反応がありました。
フォアグラにソーテルヌ、家族でワイワイの夢が「悪夢」に
シャンパンで乾杯、フォアグラに高級デザートワインのソーテルヌ、生牡蠣に白ワインなど、クリスマスのご馳走を家族でワイワイ言いながら堪能する筈だったのに…。
クリスマス休暇に帰省する多くの人が、高齢の両親や親族に新型コロナの「プレゼント」を持って行かないようにと、パリなど都市部では出発前のPCR検査に行列ができていました。
ところが、「安心して帰る」はずだった人の中には「陽性」の結果メールを受け取り、自主隔離で帰省を断念せざるを得なくなった人がいます。
その中の一人、セリーヌ(Céline)さんは「夫とお互いの実家を訪問するはずだったのに、2人だけの寂しいクリスマスになって本当に悲しい」と大好きなこのクリスマスシーズンが台無しになって落ち込んでいます。
しかも26日に30歳の誕生日を迎える彼女は「お祝いのご馳走を注文する気にもならない」そうです。「だって、味もわからないから」と。
「クリスマスはひとりぼっちよ」という一人暮らしのジェニファー(Jennifer)さんの今晩の予定は、「冷凍のディナーをチンして10分で食べて、夜9時には寝る」だそうです。
プレゼントをギリギリに買おうと思っていたヴェロニク(Véronique)さんは、「陽性になったから買いにすら行けなかった」と語り、ひたすら27日までの自主隔離が終わるのを心待ちにしています。
「なぜ感染したのかわからない」
今回証言している人たち全員に共通しているのは「なぜ感染したのかわからない」と言うことです。多くは2回のワクチン接種を行なっていました。
「先週水曜に2回目のワクチン接種をした」というモニカ(Monica)さんは、2日後に熱が出て当初は「副反応かと思った」そうです。
念のためテストしたところ「信じられない事に」陽性だったため、急遽ポルトガルから来るはずだったお母さんに「来ないように」と連絡し、おばあちゃんに会えないとわかった子供たちは泣きだす始末だったそうです。
コロナ禍で祝えなかった父の60歳、姉の30歳、自分の20歳
「今年のクリスマスまで台無しになるとは……」とため息をつくセリーヌさんは、「過去2年間の社会生活をいろんな意味で犠牲にして来たんだから、もうさっさと終わって欲しい」と収束しないコロナ禍に苛立ちを見せています。
「濃厚接触者」のため自主隔離している20歳のサラ(Sarah)さんは、コロナ禍になってから「父の60歳の誕生日にも集まれず、姉の30歳の誕生日も私の20歳の誕生日もなし」だった上、今度は「大好きな」クリスマスも「悪夢」に変わってしまいました。
ミュリエル (Muriel)さん他多くの人たちは、高齢の両親の健康状態を考えると「あと何回クリスマスを一緒に過ごせるかわからないのに」と嘆いています。
「ワクチンのお陰で軽症」「クリスマスは来年もあるさ」のポジティブ思考派
とはいえ、身に降りかかった「不幸」を嘆き悲しむ人たちばかりではありません。
南西フランスドルドーニュ地方(Dordogne)の実家に帰るはずだったジュリアン(Julien)さんは、「ワクチンを打っていたお陰で、ちょっとひどい流感にかかった程度で済んでいる」し「クリスマスはまた来年もあるさ」と前向きに考えています。
クリスマス休暇をタラソテラピーでゆっくり過ごす予定だった旅行好きのパスカル(Pascale)さんも、「旅行はまた行けばいいし、ワクチン打ったお陰で軽症で済んでいる」「健康第一」とコメントしています。
フロランス(Florence)さんは、「ありがたい事に味覚はあるので」とご主人と二人で豪華なクリスマスのご馳走を食べる事にしました。
治ってから集まればいい
トマ(Thomas)さんは、近くに住む友人が美味しい肉を、叔父さんが牡蠣を義姉が前菜をそれぞれ家のガレージまで持って来てくれます。そしてメインディッシュは「義理の母の手料理」が届くそうです。
先述のセリーヌさんは結局クリスマスディナーを27日に延期する事にしました。
ただし「それまでに主人が陽性にならなければ」ですが。今の所陰性のご主人によると「親に預けた子供にプレゼントを渡すのは31日に」なるそうです。
またアンジェリック(Angélique)さんのように「完治してからまたみんなで集まればいいのよ」という人もいます。
なにはともあれ「メリークリスマス!」
サンタさんへのお願いは「来年こそは家族でクリスマスを祝えますように!」でしょうか?
執筆:マダム・カトウ