フランスで1年で最も賑やかで慌ただしい時期といえば年末といえるでしょう!最大のイベントであるクリスマスに向けて財布の紐を一気に緩めるフランス人。今回は、フランスの師走の風物詩の1つである寄付活動についてレポートします。
毎年12月になるとやってくる訪問者
12月に入るとネット注文したクリスマスプレゼントの配達などで、家に人の出入りが多くなります。そんな時期に毎年わが家に家に訪れる、ある人物がいるのですが一体誰でしょうか?
答えは、地域の消防団員の方です。カレンダーを売りに来るのですが値段は決まっておらず、自分の懐具合で支払うことになっています。寄付の税金控除の対象になるらしく必ず領収書をくれます。地域の安全を守ってくれている消防団員さんに、感謝の意味を込めて購入する方が多いようです。
私はこのカレンダーを毎年買うのですが、実際に使うことはなく1年が過ぎていきます。理由は、使い勝手があまりよくないからです。カレンダーの部分はページの4分の1ほどで、消防団の活動を紹介する写真が大半を占めています。また、地元のお店の広告なども入っています。
2022年消防団カレンダーの裏表紙は子ども用に塗り絵 ができるようになっています
12月のフランスでよく見られる寄付活動
12月はフランス人が一番お金を使う月といわれています。クリスマスプレゼントやパーティーの準備などに出費がかさむ時期だからです。お財布の紐が緩むこの時期に、寄付への参加活動が盛んになるのは理に叶っているでしょう。
フランスでは、寄付といってもただお金を募金箱にいれるという形は一般的ではありません。フランスでよく見られる寄付の参加活動の例を3つ挙げていきます。
1.ラッピング隊へのお礼で寄付
12月の店内はプレゼントを買う人でいつも賑わっています。長蛇の列も珍しくありません。この時に活躍するのがラッピング隊です。レジが済むとラッピング隊のコーナーへ辿り着き、そこでラッピングをしてもらったお礼としてお金を渡します。
このラッピング隊は、地元のボーイスカウトやボランティア団体が請け負っているようです。ラッピングのお礼で彼らの活動資金集めに貢献できることから、利用する方を多く見かけます。
金額は決まっていたり各自にお任せだったりといろいろ。多くの店は袋も有料にし始めており、ラッピングサービスを省くお店も増えてきたので、おもちゃなどかさばる物はラッピング隊にお任せしたほうが便利です。
2.スーパーの物品購入で寄付
スーパーでは、フードバンクや地元のボランティア団体などが品物の寄付を募る姿をよく見かけます。彼らが必要なものがチラシにすでに書いてあるので、それを見て自分の買い物ついでに一緒に買って品物を渡すというやり方です。
リストには、缶詰、お砂糖、紙おむつ、パスタなどが記されています。自分の買い物ついでに余分に買うだけなので、多くの人が気軽に参加でき便利だと思います。
この間は、地元の中学生が物資集めの活動をしており、リストには「クリスマスや年末のパーティにちなんだ華やかな物」と記されていました。私は綺麗な箱のクッキーを買って彼らに渡し、寄付に参加しました。
3.レジで購入金額の端数を寄付
フランスでチェーン展開をしているお店でよく見かけるシステムです。例えば、19,59€の品物を買ったとき20€払い、おつりを寄付するというやり方です。フランスでは、レジ係の人がお会計の時に代行してくれます。
フランスの値段は端数がつけられていることが多く、このやり方も受け入れられているようです。少ない金額ではありますが、少額だからこそ多くの購買客が承諾しやすい点がポイントといえるでしょう。現金だけでなく、カード払いでも募金に参加できる形になっています。
まとめ
12月はクリスマスの飾りや、クリスマス市などもあってフランス人にとっては心躍るシーズンです。普段から寄付の参加を自然におこなうフランス人。年末時期は多くの人が、普段よりも温かい気持ちで寄付をしています。日常生活のなかで気軽に寄付参加できるシステムがあるのも、大きな理由かもしれません。分かち合いの心でする募金や寄付は、フランスの師走の風物詩と言えるでしょう。
執筆 YUKO