24日(木)、フランスで販売されているパンの多くに農薬やカビが産出する毒素などが検出された、とフランスの消費者情報誌スワサント・ミリヨン・ドゥ・コンソマトゥール(60 millions de consommateurs/6000万人の消費者)誌が発表しました。
販売されているパンの多くに残留農薬
今回の調査は、消費者情報誌スワサント・ミリヨン・ドゥ・コンソマトゥール誌によって、フランス国内のパン屋、スーパーなどで販売されているバゲット(Baguette、フランスパン)や食パン、65個を対象に行われました。
大手スーパーの食パンからも
調査では、除草剤の主成分に使われるグリホサートやグリホシネートなど、およそ330の残留農薬の有無に関して検査が行われ、その結果、対象となったパンの半数以上から微量の残留農薬が検出されました。
フランスの大手スーパー、オーシャン(Auchan)のシリアルや胚芽入りの食パンなどからも、およそ5~6種類の残留農薬が検出されています。
内分泌かく乱物質検出
また、胚芽などが入っていない白い食パン4検体を含む、10の検体からは、シペルメトリンといった、内分泌や血液系統に影響を及ぼすとされる内分泌かく乱物質に指定されている物質が検出されたということです。
これらの物質は、原料となった小麦粉に残っていたとみられています。
しかし、同誌のジャーナリスト、パトリシア・シェロプロス(Patricia Chairopoulos)氏は、「これらの残留農薬は、国の定めた基準値を超えていないため、販売には問題ない。」と述べていますが、一方で「残留農薬は(スーパーなどのパンだけでなく)パン職人が作っているパン屋のパンからも検出された。」と警鐘を鳴らしています。
大量摂取でおう吐する毒素
また、多くの検体からは、大量または継続的に摂取すると嘔吐(おうと)を引き起こしたり、発がんのリスクを高める、免疫機能障害を引き起こす、といった危険のある、マイコトキシンというカビ毒も検出されています。オーシャンとカルフール・ビオ(Carrefour bio)のバゲット以外の検体は、マイコトキシンの検出量は基準値を下回っているということです。
フランスのパンの品質
フランスのパン消費と生産傾向
フランスのパンの消費量は1950年代に比べると1/3に減ってきていますが、世界的に見ると高い消費量を維持しています。パン屋で販売されているパンには、原料や原料の生産地を示すラベルがないため、パンの品質につい疑問を抱く声も多く聞かれます。
以前に比べると、工場で生産された生地を使って最終的にパンの成型のみ行っている、または焼く作業だけを店で行うという店舗が増え、それが全体の45パーセントを占めています。
最近ではスーパーでも焼きたてのバゲットが買えるようになり、値段もパン屋に比べ安いものが多くなっています。
ビオ(Bio)食品、オーガニック食品への信頼
今回の調査では、ビオ(Bio、オーガニック認定)のパンの多くには残留農薬の検出がなく、食品添加物が含まれているものもほとんどなかったということです。これはスーパーなどで売られているビオの食パンや菓子パンでも同じく、安全性が高いという結果になりました。
オーガニック食品の市場は、昨年16パーセント売り上げが増え、今後も市場が拡大されていくのではないでしょうか。
執筆:石毛順子