本日4月20日より、フランス北西部ノルマンディー地方のエヴルー(Evreux)市にて、民間企業がスピード違反の取締まりを開始します。フランス政府は、2019年半ばまでにフランス全国で民間企業への委託を開始する計画を発表しています。
本日より本番、2019年には全国で
今年2月、政府は今回の委託のための入札を開始し、これまでテスト走行が行われていましたが、本日より民間業者の車26台がエヴルー市周辺でスピード違反の取締りを開始します。
民間業者への委託は各県ごとに行われ、2019年の半ばには、フランス全国のスピード違反取締りが完全に民営化されます。これにより、約3700台の取締り車がフランス中を走ることになります。
取締り車の判別が不可能に
今まで、警察の車にしか搭載されていなかった速度計測センサーを普通車に搭載し、民間業者社員のドライバーが各県の指定ルートを走ります。車の前方、ナンバープレートの内側に隠されたセンサーは、制限速度をこえる車のナンバープレートのみを検知します。道路を走る車の運転手は、スピード違反の取締まりをしている車が判別できず、いつどこで検知されるかわからなくなります。
警察の労力は治安維持強化に
昨年2017年のフランスにおける交通事故の死者は3693人で、前年比のマイナス1.2%、わずか45人しか減少していません。フランス政府は政権が交代するごとに、警察のスピード違反取締まり強化を打ち出してきましたが、2015年のテロから治安維持の強化が最優先事項となっています。
スピード違反の取締りを民営化した動機について、内務大臣(Ministre de l’Intérieur)ジェラール・コロン(Gérard Collomb) は、「限られた警察官と憲兵隊員(Gendarme)の労力を、国家の治安維持のために集中させるため」と語っています。
民営化は無理?
ドライバー40万人協会(40 Millions d’automobilistes)の代表、ピエール・シャスレー(Pierre Chasseray)氏は、「国が民営化で収益を上げようとしている」、「民営化はうまくいかない」と、不満を表明しています。
フランス政府は、制限速度を時速90キロから80キロに下げる事も検討しており、今後の動向が注目されています。
執筆:マダム・カトウ