フランス人とある程度コミュニケーションは取れるけど、ちょっとした日本語の表現をうまくフランス語で言えない。言ってみたい!
今回は、「○○の値段である」「○○する価値がある」という意味を持つ単語 valoir を使って、そういう時に役に立つとっても便利な表現をご紹介します。
valoirの意味を確認しよう
まずは、valoir の意味を確認しておきましょう。
① ~の値段である、値打ちがある
② ~する価値がある
③ ~に匹敵する
④ ~の力量がある
「(行為やものなどに)充分な価値や力が備わっている」という意味をもちます。たった一語でそれだけの意味を説明できる、とても便利な単語です。日本語を母語とする私たちには、これが一つの「動詞」というのも少し不思議な気がしませんか?
valoirを使った色々な表現
それでは、valoir を使った色々な表現を見ていきましょう。
Il vaut mieux + 動詞不定詞 / que + 接続法 イル ヴォ ミゥ / イル ヴォ ミゥ ク
valoir のもっとも一般的な使い方で、フランス語を勉強していると必ず学習する表現です。「○○するほうがいい」という意味です。
mieux は「よりよい」を表す bien の優等比較級で、ミゥと発音します。
Il vaut mieux y aller. (そこへ)行ったほうがいい。
Il vaut mieux que tu le fasses. 君はそれをしたほうがいい。
のように使います。
ne rien valoir ヌ リヤン ヴァロワー
ne… rien で、「何も○○ない」という強い否定を表します。
二つを合わせて直訳すると「何もない、○○の価値がある」で、つまり「何の価値もない」という意味になります。
また、後ろに pour / à (○○にとって)という単語を付けて「○○にとって有害だ」という意味にもなります。
Cette émission ne vaut rien. この番組は本当につまらない。
Cette série télévisée ne vaut rien pour les enfants. このテレビドラマは子供たちにとって有害だ。
価値がないだけならまだしも、有害になってしまうのが面白いですよね。
C’est tout ce que ça vaut. セ トゥ ス ク サ ヴォ
これは、見た目と意味が少し違う面白い表現です。
tout は「すべて」という意味で、C’est tout ce que… で「それは○○するすべてだ」という言い回しです。
そのまま訳すと「それは、その価値がある全てです」。なんだかとても褒めているような気がするのですが、実際は「それだけの価値だ」「それ以上の価値はない」という、むしろマイナスな印象の表現です。
valoir la peine de + 動詞不定詞 / que + 接続法 ヴァロワー ラ ぺンヌ ドゥ /
ヴァロワー ラ ぺンヌ ク
「○○するのに値する」という意味です。直訳すると「○○する苦労の価値がある」「苦労して○○するだけの値打ちがある」。
la peine は「心痛、苦労、刑罰」という少しマイナスの意味をもちますが、色々な表現に幅広く用いられます。
Cet hôtel vaut la peine de réserver. そのホテルは予約するだけの価値はある。
また、否定文にすると「○○するには及びません」と丁寧にお断りする表現としても使えます。
Ça vaut le coup. サ ヴォ ル ク
話し言葉で「やってみるだけの価値はある」という意味で、言いやすくて頻繁に耳にします。
le coup は「一撃、行為、回」などの意味があり、「その行為、攻撃の価値はある」の少しくだけた表現です。
Nous sommes allés au musée très intéressant, ça vaut le coup. 面白い美術館に行ってきたよ、行くだけの価値はあるよ。
「するだけの価値はある?」と聞きたいときも、そのまま語尾を上げてサヴォルク?と言うだけなので、とても便利ですね。
日常生活で使ってみよう
素敵なレストランを見つけたから友人にすすめたいな、ぜひ行ってもらいたいなと思った時、Il faut y aller. (行かなければいけない)とか Il faudrait y aller. (行く必要がある) と言っても、相手は理解してくれるでしょう。
でも、やっぱりなんだかちょっと違う。そんな時には「サヴォルク!」
新しい表現は、使う時に少し勇気がいるかもしれません。でも、間違えてもいいからぜひ使ってみましょう。そうすればそのあとは、一気に話しやすくなるはずです。
Ça vaut le coup !
執筆 Daisuke