DELF B2試験対策(その5)作文問題の内容と対策ーフォーマルな手紙の書き方

2023.05.29

DELF/DALF

フランス政府認定のDELF(Diplôme dʼétudes en langue française)B2は、中級者向けのフランス語能力試験です。

このシリーズ記事では、DELF B2試験の内容や対策をご紹介しています。第5回目の今回は、DELF B2試験の作文(Production écrite)試験の内容を徹底的に分析します。

(シリーズ第1回ではDELF B2試験の基本情報を、第2回では過去問と参考書について、第3回ではリスニング試験、第4回では筆記試験の特徴と対策を紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。)

 

DELF B2の作文試験

第1回の記事で見たように、筆記試験はリスニング(Compréhension de l’oral)・読解(Compréhension des écrits)・作文(Production écrite)の3セクションで構成されています。

 

作文試験の内容

作文試験では、60分で250語程度(※)の文章を作成します。

※文字数の指定に minimum と記載がある場合は●語以上、environ と記載がある場合は●語程度(一般的に、±文字数の10%)で作文するようにしましょう。

テーマと形式

過去問では、居住しているアパートを代表し市長への抗議文を書く、というお題が出されました。

この問題ではフォーマルな形式で手紙を書く能力が試されます。また自分(+周囲)の意見を建設的に述べつつ、相手にこちらの意志を伝えることが必要になります。

 

作文試験のポイント まず読み取り!

作文の試験といっても、第1の関門は問題文の読み取りです。B2試験の問題文はB1よりも長く、その分、大切な情報が多く含まれています。

問題文を実際に見てみましょう。まずは状況の説明です。(※以下、解説のため問題文を加工しています)

Vous vivez en France dans une zone piétonne du centre-ville[1]. Le maire de votre ville a décidé d’ouvrir certaines des rues de cette zone[2] à la circulation des autobus pendant la journée[3].

ここからわかる要素には、以下があります。

[1] フランス在住、また中心街の歩行者専用エリアに住んでいる
[2] 市長が、歩行者専用エリアの使い方の改革を決定した。
[3] 今後いくつかの道路で、日中、バスが通れるようになる。

次に、書くべき内容の指示を読み取ります。

Comme représentant(e) de votre immeuble[1], vous écrivez une lettre au maire[2] pour contester cette décision en justifiant votre point de vue[3].

読み取るべき要素は、主に[ ]で示した3点です。

[1] 書き手の立場:住んでいる建物の代表者(Comme:資格を表す接続詞)
[2] 形式:フォーマルな手紙。市長宛。
[3] 目的:自分の意見の根拠を示しつつ、市長の決定に抗議する。(pour:目的を表す前置詞)

以上のように、問題文から「どのような立場で」「何について」「どのような目的で」手紙を書くのかを正確に読み取ることができます。

 

作文試験のポイント 形式はこれ!

次に文章を書くポイントをご紹介します。B2試験では、フォーマルな手紙を書くというお題に合わせて、適切な形式を選ぶことが大切です。上では「市長への抗議文」を書くというお題でした。ではこの場合、どのような形式で手紙を書けばよいのでしょうか?

手紙に必要な要素は

フランス語の手紙では、以下の要素が必要です。

・差出人の情報(Coordonnées de l’expéditeur)
・宛先の情報(Coordonnées du destinataire)
・日付(Date)
・書き出し(Formule d’appel)
・本文
―タイトル(Objet)
―導入部(Introduction)
―内容(Développement)
―結語(Formule de politesse)
・署名(Signature)

差出人・宛先の情報

「差出人の情報」「宛先の情報」は、おもに名前・住所・郵便番号・電話番号・メールアドレスなどを含みます。

差出人の名前には敬称(Civilité: MadameやMonsieurなど)をつけず、宛名にはつける点に注意です。

日付

日付の入れ方も復習しておきましょう。フォーマルな手紙の場合、以下のように書くことが多いです。

(例)Paris, le 22 mars 2023
・「定冠詞le」+ 「日付」+ 「月」+ 「年」の順
・曜日は入れない
・「月」のみアルファベで他は数字
・「定冠詞le」の前に、「場所」を入れることが多いです

書き出し

フォーマルな手紙の書き出しには、宛先によってさまざまなパターンがあります。以下は、市役所などの公的機関に書く場合の表現です。

宛先の性が不特定の場合、
Madame, Monsieur,…/ Madame et Monsieur,… とします。複数のMesdames/ Messieursを使っても良いです。

宛先の性が特定されている場合、
Madame, / Monsieur, とします。名前も姓も入れません。

また、相手の地位が分かっている場合には、
Madame la Maire, / Monsieur le Maire,(maire:市長)のように役職名を入れます。

手紙でよくあるCher *** / Chère ***…の形は、相手への親近感を込めた形です。相手をよく知っているという設定もありえなくはないので、間違いではないのですが、フォーマルな手紙では一般的ではありません。

本文で性数一致の必要があるので、相手を男性と設定しMonsieur le Maire…の形で始めるのが最もシンプルでしょう。

本文:タイトル

とにもかくにも「簡潔に」書きましょう! 文章ではなく名詞や動詞の不定形をつかうと良いです。

今回の過去問であれば、例えば以下のように書くことができます。

Contestation contre la réforme(contester < contestation:抗議)
Circulation des autobus dans la zone piétonne(circuler < circulation:通行)

あくまで一例ですが、「抗議文」であることを強調する・「内容」を強調する、などのパターンが考えられます。

本文:導入部

さまざまなパターンがありますが、いくつか代表的なものを紹介します。

(名乗りから始める)Je suis résidant/e de la ville ***…(「私は、◎◎市の住人です…」)
(手紙の目的から始める)Je me permets de vous écrire pour contester/concernant la réforme…(「✕✕の改革について広義したく、手紙を書かせていただきます…」)

このとき、主語を「私(個人)je」にする場合と、「住民の代表としての私 je…au nom des résidants」または「私たち・我々nous」とする場合と、両方考えられます。どれを選んでもよいのですが、いずれにしてもどれかに統一して書きましょう。

本文:内容

本文では、抗議の根拠を簡潔に書きます。以下の表現などを使って、いくつかのポイントに絞って根拠を書いていくと良いでしょう。

D’abord/ Tout d’abord…(初めに)、Ensuite…(次に)、Enfin…(最後に)
Premièrement(第一に), Deuxièmement(第二に), Troisièmement(第三に),

結語

手紙の結語として便利な表現をいくつか紹介します。

En espérant que ma demande retiendra votre attention, veuillez agréer, (宛名), mes meilleures salutations.(retenir son attention:注意を引く)
Je vous prie d’agréer, (宛名), l’expression de ma considération distinguée.(agréer:受け入れる)

類似する表現は複数ありますので、どれか気に入ったものを一字一句間違えずに覚えることが重要です!

署名

結語から1行あけ、右下に忘れずに入れます。

 

対策のポイント

作文試験の対策には、抗議文の内容を書けるようにすることはもちろんですが、フォーマルな手紙に必要な要素と構成、また定形表現を頭に入れることがまず大切です。

いくら文法力や語彙が豊かでも、形式については(残念ながら)覚えていなければ始まりません。また定形表現はコンマの位置や性数が異なるだけで、読み手には違和感のあるものになってしまいます。

 

まとめとアドバイス

この記事では DELF B2 の作文試験を分析し、おすすめの対策をご紹介しました。

B2試験の指定語数は250語と、B1よりも100字近く多くなります。しかしこの記事で解説したように、問題文をしっかり読み書くべき要素をふさわしい順番で並べることで、ある程度字数は埋まっていくものです。

ぜひレッスンなどを活用しながら、フォーマルな手紙の書き方を身につけていってくださいね!

最新情報を要チェック

本シリーズの記事は、フランス国民教育省が公開している過去問(リンク)を参照しています。

時間や形式などは変更される可能性があります。受験生の方は最新の情報をチェックすることをお忘れなく!

次回の記事では、口頭試験の内容と対策についてご紹介します。

執筆あお

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