オーブンは家にあるけれど、使いこなせていないと思ってる方いらっしゃいませんか?フランスの家庭では、オーブンが日常的に活躍しています。キッシュやローストチキン、ガトーショコラなど、フランスの定番料理には、オーブンを使って作られるものが数多くあります。今回は、フランスのオーブン活用術や秋の味覚を楽しめる簡単レシピを紹介いたします。
フランスのオーブンの特徴を知ろう!
日本では、電子レンジとオーブンが一体になったタイプが主流ですが、フランスでは、加熱にはオーブン、温めには電子レンジと、使い分けを好む傾向があります。フランス語でオーブンは le four (électrique)(ル・フール・エレクトリック) 、電子レンジは (le four à)micro-ondes(ル・フール・ア・ミクロオンド)といいます。
オーブンのタイプと機能について見てみましょう。
1.キッチンに組み込まれているビルトインタイプ
フランス語で、壁や家具に埋め込むタイプのオーブンは「four encastrable(フール・アンカストラーブル)」と呼ばれています。キッチンの棚や、コンロの下などに設置するのが一般的です。そのためキッチン周りがすっきりし、作業スペースを広く使えるのも特徴です。
多くのフランスの家庭では、このビルトインタイプのオーブンが主流です。
フランスのオーブンは70L前後の大容量タイプが多く、丸ごとのチキンはもちろん、直径60cmほどの大きなタルトも余裕を持って焼けるサイズです。
多機能なオーブンが増えてきましたが、その中でもよく使われる機能を紹介します。
| 表示 | フランス語 | 特徴 | お勧め |
| 上下の平行線 | Chaleur traditionnelle シャルール トラディショネル |
上下加熱 しっかりと焼きたいときに使用 |
パン、ケーキ、タルト |
| 扇風機マーク | Chaleur tournante シャルール トゥルナントゥ |
ファン加熱 むらなく仕上げたいときに使用 |
ローストチキンや肉料理やグラタン |
| ギザギザ線(上部) | Gril グリル |
グリル加熱 表面の焦げ目をつけたいときに使用 |
グラタンの仕上げ、チーズの焦げ目 |
オーブンは日常的に使うので、お手入れ機能の確認も大切なポイントです。
ヨーロッパで販売されているオーブンには「Pyrolyse(ピロリズ)」という、オーブン内を高熱加熱して庫内の焦げなどを焼き尽くし「灰」にする「セルフクリーニング機能」が搭載されているものもあります。
オーブン専用の洗剤は匂いが強いものが多く、庫内の焦げを手で落とすのはなかなかの重労働。この機能を使えば灰を掃除するだけいいので、オーブンをきれいな状態に保ちやすくなります。
⒉コンロとオーブンが一体化した据え置きタイプ
フランス語で、Piano de cuisson(ピアノ・ドゥ・キュイッソン)と呼ばれており、大型のプロ仕様のクッキングコンロのことです。プロの厨房で使われていることから、料理好きのフランス人の憧れの調理器具のひとつといえるでしょう。
なぜ「ピアノ」と呼ばれるようになったのか、その由来は明確には分かっていませんが、「ピアノ」という言葉が、ホーロー加工の鋳鉄でできた重厚な構造物を指すために使われていたことに加え、複数のバーナーが並んでいる様子が、ピアノの鍵盤を連想させたため、とも言われています。
このタイプで有名なのは、1908年に設立されたフランスの老舗メーカーLa Cornue(ラ・コルニュ)です。調理器具にとどまらない、芸術的な家具のような存在感があります。
オーブンに入れて焼くだけ!素朴で温かい秋の定番レシピ
フランスのレシピ本を見ていると、オーブンを使った料理がたくさん掲載されています。私もフランスで暮らし始めてからオーブンの便利さに気づき、日常的に使うようになりました。フランスのオーブンは容量が大きいため、一度にたくさんの量を調理したい時にも役立ちます。基本的には下準備をしたら、あとはオーブンにおまかせ。意外と手間がかかりません。
今回は、秋の味覚を楽しめる簡単な定番レシピを紹介します。
1.極上の香りとまろやかな味わいの le Mont d’Or au four (ル・モン・ドール・オ・フール)
「黄金の山」を意味する「Mont d’Or(モン・ドール)」は、クリーミーな味わいが特徴の、フランスとスイスの国境の山脈一帯で作られているウオッシュタイプのチーズで、製造期間は8月15日~3月15日、販売期間は9月10日~5月10日と限定されています。
EUのAOP (l’appellation d’origine protégée)原産地呼称保護を取得しており、高品質でクセのないミルキーな味わいとエゾマツの香りが特徴です。
そのまま食べてももちろん美味しいのですが、フランスではオーブンを使うレシピが人気。エゾマツの木箱ごと加熱するのですが、オーブンでじっくりと熱を加えることによってウッディな香ばしい香りが部屋に漂います。そして、食べるときはトロリと溶けた熱々のチーズの美味しさを堪能できます。
材料
モン・ドール:1個(3〜4人分で約600g)
ニンニク:数片
辛口白ワイン:10cl ジュラ産のがおすすめ
準備と焼き方:200℃ で20〜25分 、Chaleur tournante (ファン加熱)
1)オーブンを200℃に予熱しておきます。
2)モンドールをプラスチック包装から取り出します(木箱からは出さない)。
3)表面に切れ目を入れ、スライスしたニンニクを差し込み、上から白ワインを回しかけます。
4)チーズの柔らかさを保ち、溢れ出るのを防ぐため、上面を残して木箱の周りをアルミホイルで包みます。
5)天板に乗せ、オーブンで20〜25分間焼きます。
生ハム、茹でたジャガイモ、バゲット、季節の焼き野菜と一緒に楽しみます。

2.お部屋全体が甘い香りに包まれる Pommes au four(ポム・オ・フール)
フランスで最も親しまれている果物といえばりんご。果物コーナーにいくと黄色、緑、赤とりんごの種類の多さに驚きます。
価格も安定していて一年中手に入りやすいこともあり、フランスの家庭でよく食べられていますが、中でもpommes au four 焼きリンゴは、簡単に作れて美味しい人気のデザートです。フランス家庭の素朴で温かいおやつを味わえるレシピです。
材料
りんご:4個 よく洗っておきます。種類はお好みで。
バター:50g 4等分にしておきます。
水:大さじ3杯
砂糖:小さじ4
シナモン:お好みで少し
準備と焼き方:180℃で40分~45分、Chaleur traditionnelle (上下加熱)
1)オーブンを180℃に予熱しておきます。
2)りんごは、ヘタの部分をカットして、ペティナイフで中身を少しくりぬいておきます。
3)りんごを耐熱容器にならべて、くりぬいた部分に砂糖、シナモン、かけて最後にバターをのせます。
4)耐熱容器の底に水をいれて、予熱しておいたオーブンへ入れて40分焼きます。
焼きあがったら粗熱を取り、バニラアイスクリームやフレッシュクリームを添えていただきます。お砂糖をはちみつやメープルシロップに変えてももおいしいです。
フランスのオーブン料理で愛用されている定番の道具たち
フランスではどんな道具が愛用されているのでしょうか?
煮込み料理は、オーブンに鍋ごといれてじっくり加熱するスタイルがフランス流。その時に大活躍なのが2大メーカーLe Creuset(ルクルーゼ)と STAUB(ストウブ)のお鍋です。蓋つきでオーブンに入れることが可能で、なおかつ食洗器にいれても大丈夫という優れもの。
驚くほど重いのですが、厚みあるホーロー鍋のお陰で、長時間の高熱加熱でもパサつかずしっとりとした食感を保てます。出来上がったら、そのまま食卓へ出せるデザインや色の美しさも長く愛されている理由です。
付け合わせのグラタンなどには、透明で使いやすい耐熱容器のPyrex(パイレックス)や、色や形のバリエーションが豊富なセラミック製のEmile Henry(エミール・アンリ)などが、フランスの家庭でよく使われる定番品といえるでしょう。
焼き菓子には、型の種類が豊富で耐久性のあるTefal(ティファール)が人気です。
まとめ
フランスの家庭料理に欠かせないオーブン。ビルトインタイプからプロ仕様のものまで選択肢が豊富です。
今回ご紹介したレシピは、どちらも下準備さえ済ませればあとはオーブンにお任せするだけ。難しい技術がなくても本格的なフランスの味を楽しめますので作ってみてくださいね。
執筆 YUKO











