パリ ロン=ティボー国際音楽コンクールピアノ部門で亀井聖矢さん、イ・ヒョクさんが優勝

2022.11.16

ピアノ コンクール

11月13日(日)、パリのシャトレ座(Theâtre de Chatelet)でロン=ティボー国際音楽コンクール(Concours international Long-Thibaud)の決勝大会が開催され、亀井聖矢さんと韓国のイ・ヒョク(LEE Hyuk)さんが優勝しました。

 

フランスの名門ピアノコンクール

ロン=ティボー国際音楽コンクールは1943年以来、フランス・パリで開催されている歴史あるコンクールです。

創設者の一人であるマルグリット・ロン(Marguerite Long, 1874-1966)は高名なピアニストで、ラヴェルのピアノ協奏曲を初演したことで知られています。もうひとりの創設者であるジャック・ティボー(Jacques Thibaud, 1880-1953)も、有名なヴァイオリニストです。

ピアノ部門とヴァイオリン部門があり、それぞれ1年ごとに開催されます。2019年大会では日本の三浦謙司さんが優勝、務川慧悟さんが2位になったことでも話題になりました。

過去には田村響さん(2007年ピアノ)、樫本大進さん(1996年ヴァイオリン)、清水和音さん(1981年ピアノ)、海老彰子さん(1975年ピアノ)など、現在まで大活躍の日本人受賞者がいます。

若手ピアニストの登竜門、課題曲は個性的!

ここ数年、多くのピアノコンクールがライブ配信などで世界各地で聞けるようになり、注目度が上がっています。

そのなかでロン=ティボーの特徴は、その個性的な選曲にあります。

本大会の予選では、4曲が指定され、自由曲は10分のみという設定です。
・ショパン ピアノ・ソナタ第2番(Sonate en si bémol mineur n°2) 第1楽章と第4楽章
・ドビュッシーあるいはラヴェル トッカータ(Toccata)
・プーランク 「プレスト変ロ短調(Presto en si bémol majeur)」
・クープラン 「ティク・トク・ショック(Tic-Toc-Choc)」あるいはラモー「鳥のさえずり(Le rappel des oiseaux)」
+自由曲 10分

ショパンのピアノ・ソナタについては、本来であれば第1楽章から第4楽章までつなげて演奏するように作曲されているのですが、創業者論の遺言ということで、第1楽章と第4楽章の指定となっています。

約30名の参加者が、ほとんど同じプログラムで演奏するという、珍しい予選になりました。

セミ・ファイナルとファイナルの課題曲

次にセミ・ファイナルでは、予選で弾いた曲を除き、自由度が格段に上がるのですが、ここでも指定曲があります。

・ショパン 「24の前奏曲」より第16番

ショパンの前奏曲は、これも第24番まである大曲で、多くのピアニストは第1番から第24番まで、あるいは少なくとも24曲のうち複数曲を演奏します。

第16番は中でもスピードが速い、激しい曲調で、テクニックの難しさでも知られているのですが、このような曲を自由曲と組み合わせて一つのプログラムをつくるという、構成力も試されるラウンドになっています。

そしてファイナルでは、指定の協奏曲から1曲を選び、ラ・ギャルド・レピュビュリケヌ管弦楽団(l’Orchestre de la Garde Républicaine)と演奏します。

指定曲のなかに、もちろんショパン第1番やチャイコフスキー第1番など、おなじみの協奏曲もあるのですが、フォーレやラヴェル、サン=サーンスなどフランスの作曲家による協奏曲が含まれている点は興味深いです。

 

日本人が大活躍!

16歳から33歳までのピアニストが出場できるこのコンクールで、今年は日本人が大活躍しました。

まず本大会に先立って行われる予選を通貨した32名のコンテスタントのうち、日本人が7名を占め、最多の韓国に続き、開催国のフランスよりも多い出場数となりました。

予選とセミ・ファイナルを経て、6名に絞られたセミ・ファイナルには、亀井聖矢さんと重森光太郎が進出し、シャトレ座で素晴らしい演奏を披露しました。

そして亀井聖矢さんと韓国のイ・ヒョクさんが第1位、重森光太郎さんが第4位に入賞しました。

亀井さんは第88回日本音楽コンクールで第1位(ピアノ部門)を受賞するなど、注目の若手ピアニストで、ファイナルではフランス人作曲家のサン=サーンス協奏曲第5番を選び、見事に聴衆賞とプレス賞もトリプル受賞しました。

イ・ヒョクさんも、2018年浜松国際ピアノコンクールで第3位入賞、2021年のショパン国際ピアノコンクールではファイナリストとなるなど、勢いのあるピアニストです。

重森光太郎さんはファイナルでの協奏曲について、今回初めてオーケストラと合わせて演奏された(!)とのことで、今後の活躍に期待です。

執筆 あお

参考:
Fondation Long Thibaud 公式HP

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