4月3日(金)、昨日2日の時点でフランスの新型コロナウイルス 感染者は59,105人、うち入院は26,246人、重症者6,399人、死者4,503人となりました。もうすぐピークを迎えると予想されていますが、政府は6月に延期された地方選挙、同じく6月に予定されているバカロレア試験、そして収束に向かった場合の外出禁止解除をどのように行うかなどの検討を始めました。
パリおよび近郊、6日がピークの予想
感染者数が現在最も多いパリおよび近郊のイル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)の感染者は9,609人、死者1,369人にのぼります。そのため、これらの地域の集中治療室の病床数を1,200床から2,700床に増やしましたが、新型コロナウイルスの患者だけで2,327床のベッドが埋まり、現在までで合計439人の重症患者がフランス各地の病院に移送されています。
パリ・イル=ド=フランス公立病院連合(l’Assistance publique des hôpitaux de Paris:AP-HP)が3月31日に作成した資料によると、4月6日から5日間、最悪の場合でも10日間かけて感染者数が安定すれば、早くて11日、遅くとも16日から数が減り始めると予想されています。
現在パリおよび近郊の病院は収容能力の限界に達しており、関係者は感染ピークが過ぎるのを待ち望んでいます。
コロナ収束のシナリオ、《外出禁止解除》全員一斉はありえない
エドゥアール・フィリップ(Edouard Philippe)首相は、昨日テレビのニュース番組で質問に答え、現在4月15日までとなっている外出禁止令延長の可能性は大いにありとしつつ、一方で政府は《禁止令解除のシナリオ》を検討していると述べました。
ろはいえ解除を一斉に行うと、感染拡大が再発する恐れがあります。よって、政府は外出禁止令を「段階的に」行うことが最も現実的と判断しているようです。
例えば、中国が行っているように「感染者の少ない地域をまず解除する」、「重症化する確率が高い高齢者を除き解除する」などで、すでに専任の担当官が任命され専門家と準備を開始しています。
国民全員感染テスト?に《抗体検査》注目
また、解除にはフランスの感染テスト能力の向上が必須となります。
外出禁止を解除した数週間後、数ヶ月後に再度禁止令を出すという逆戻りを避けるため、国民全員へのテストも検討されています。
現在行われている鼻腔の粘液を採取して行うPCR検査に加え、血液一滴で検査できる《抗体検査》が注目されており、すでに病院関係者の間では行われています。抗体検査キットは安価で大量生産できることから期待されています。
6月のバカロレア試験、延期された地方選挙はどうなる?
国民教育大臣ジャン=ミッシェル・ブランケール(Jean-Michel Blanquer)は、今年のフランスの高校卒業資格試験(中等教育レベル国家試験資格)バカロレア(baccalauréat)の共通試験は開催しないと発表しました。そのため、高校最終学年の生徒の合格不合格は過去3学期間の成績で評価試験官により判断されます。
フランス地方選挙、6月の決選投票再延期が濃厚
3月15日、新型コロナウイルス感染者が急増し始めていた中フランス地方選挙が強行されました。(関連記事はこちら)感染を恐れた有権者の多くが棄権したため投票率が低く、選挙自体のやり直しの声も上がっていました。
しかしながら、マクロン大統領は、第一回戦投票で当選した候補者は当選確定と発表しています。
第一回戦で当選者が決まらなかったパリ市を含む4,816の市町村では決戦投票が待ち望まれますが、《政府がこれらの市町村に関しては第一回戦投票からのやり直しも検討している》と、一部では報道されています。
当初6月に延期された決選投票は、さらに10月に延期される可能性が高まっています。
執筆:マダム・カトウ