2018年も残すところあとわずかとなりました。FRANCE 365も今年一年、フランスに関する様々なニュースを扱ってきました。
2018年は度重なる自然災害やSNCF(フランス国鉄/Société Nationale des Chemins de fer Français)やエールフランス(AIRFRANCE)などが行った大規模で長期間にわたるストライキ、学生闘争やメーデーの抗争、最近では黄色いベスト運動(La manifestation de Gilets Jaunes)による暴動など、激動の一年でした。
また、著名人の死去のニュースも度々報じられ、次々と大スターが旅立った一年でもあります。
一方で、FIFAワールドカップでフランスが20年ぶりの優勝を飾るという、フランス全土が沸き上がるような嬉しいニュースもありました。
自然災害や異常気象
今年は異常気象や自然災害が頻発した一年でした。
1月には数日間続いた豪雨の影響でパリのセーヌ川(La Seine)が危険な水位に達し、ルーブル美術館(Musée du Louvre)やオルセー美術館(Musée d’Orsay)などが収蔵品を避難させるなど、対策に追われました。
また、2月には記録的な大雪がパリを襲い交通機関がマヒ、7月には記録的猛暑でローヌ地方(Rhône)では38度を記録、10月にも大雨でオード県(Aude)で大規模な洪水が発生するなど自然災害によって多くの被害が出ました。
市民の生活に大きな影響が出たストライキ
フランス国鉄改革法案に反対する為に3月22日(木)に始まったSNCFのストライキは、その後7月まで続く大規模なゼネラルストライキと発展し、市民の生活に大きな影響が出ました。
また、同時期にはエールフランスも、パイロットや地上および機上係員の賃上げをめぐってストライキを起こし、2018年上半期はストライキと共にあったと言っても過言ではありません。
過激化したデモ
2月15日に、大学生の学業成功と進学指導法ORE(loi Orientation et Réusitte des Étudiants)=ヴィダル法(loi Vidal)が 可決されると、フランス各地の大学で学生闘争が活発化しました。パリのソルボンヌ大学では学生と機動隊が激しく衝突するなど、フランス全土での被害額は100万ユーロ(およそ1億3200万円/1ユーロ:132円計算)を超えると発表されました。
5月1日のメーデーでは、マスクをつけ黒い服に身を包んだ black blocs(ブラック ブロックス)とよばれる1,200人の集団が商店を破壊、車に放火するなどの破壊行為を行いました。
記憶に新しい黄色いベスト運動は、11月14日から毎週末フランス各地で行われている、燃料税引き上げに対する抗議デモですが、パリのシャンゼリゼ大通り(Avenue des Champs-Élysées)や凱旋門(Arc de triomphe)付近では、暴徒化した一部のメンバーが凱旋門内部を破壊、商店や車に火をつけるなどの破壊行為を行い、甚大な被害が出ています。
2018年はまさに過激化するデモに始まり、デモに終わる一年でもあります。
続く著名人の訃報
今年は、著名人の訃報が相次ぎました。
1月には「夢見るシャンソン人形(Poupée de cire, poupée de son)」で日本でも大人気を博したフランス・ギャル(France Gall)氏が癌の為、70歳で死去しました。
8月、世紀のシェフと言われ、ミシュラン史上最も多くの星を獲得したフランス料理界の巨匠、ジョエル・ロブション(Joël Robuchon)氏が、膵(すい)臓ガンの為、73歳で亡くなりました。
9月には、日本に本場のフランスパンを普及させ、日本で「フランスパンの神様」と呼ばれたフィリップ・ビゴ(Phillippe Bigot)氏が、病気のため76歳で亡くなりました。また、同じく9月、「ジャック・パルメール(Jack Palmer)」シリーズの生みの親、ルネ・ペティヨン(René Pétillon)氏が長い闘病生活の末、72歳で亡くなりました。
10月、世界で最も有名なシャンソン歌手の一人で「シャンソンの至宝」と呼ばれるフランスの大スター、シャルル・アズナブール(Charles Aznavour)氏が、アルピーユ(Alpilles)の自宅で94歳で死去しました。
11月には、映画「男と女」(Un homme et une femme)の主題歌の作曲家として有名なフランシス・レイ氏(Francis Lai)が、86歳で亡くなりました。
巨匠の相次ぐ訃報に、フランス全土が涙しました。
FIFAワールドカップ優勝
暗いニュースが続く一方、7月15日(日)には、FIFAワールドカップ2018ロシア大会の決勝戦が行われ、フランスが4-2でクロアチアに勝利し、1998年フランス大会以来20年ぶり、2度目の優勝を手にするという嬉しい大ニュースが飛び込んできました。
フランス全土が数日間、歓喜の渦に包まれました。フランス国旗が街中にはためき、フランス国歌ラ・マルセイエーズ(La Marseillaise)が鳴りやみませんでした。
こんなことも
5月には、パリ18区の集合住宅の5階のバルコニーから男の子が落下しそうになっているところを、ある男性がバルコニーを伝って5階までよじ登って助けた、というニュースがフランス中を駆け巡りました。
その男性は、マリから来た、当時不法移民のマムドゥ・ガッサマ(Mamoudou Gassama)氏で、後に滞在許可証が交付され、更に消防士として採用されるという嬉しいニュースが続きました。
ガッサマ氏が自らの危険を顧みず、子供の命を救ったというニュースは、人々の心を温かくするだけでなく、移民に対する国民の感情が動いた瞬間でもありました。
Much respect to Mamoudou Gassama🙏🏿 you deserve all the praise for your heroic act brother 👌🏿 #mamoudougassama pic.twitter.com/H3gRECb0A5
— WS (@wesleysnipes) 2018年6月2日
フランスにとって激動の2018年が間もなく幕を閉じようとしています。
来年は一体どのような一年になるのでしょうか。これからもフランスの「今」を追い続けていきたいと思います。
皆様にとってもよい一年でありますように。
執筆:Daisuke