仏領ニューカレドニアがフランス国内の「国家」に 歴史的合意

2025.07.15

Nouvelle caledonie2025年7月15日(火)、南大西洋に浮かぶフランス領ニューカレドニア(Nouvelle-Calédonie) は、フランス国内で一定の主権をもつ「国家」となることで独立派と反独立派が合意しました。フランス憲法が改正され、現地議会で承認されると、ニューカレドニアの住民はフランス国籍に加え、ニューカレドニア国籍を取得することが可能になります。

 

ニューカレドニア独立派、反独立派が「国家」で合意

12日、フランス海外県担当大臣(ministre des Outre-mer)マニュエル・ヴァルス(Manuel Valls)、およびニューカレドニア議会の独立派と反独立派議員の代表18名は、フランス憲法に「ニューカレドニア国家」(Etat de Nouvelle-Calédonie)を明記するという「歴史的」な合意に署名しました。

合意の詳細は明らかにされていませんが、これにより多くの住民に「投票権がもたらされる」と反独立派は評価しています。

独立か否かで分裂、「妥協」で争いに終止符、治安安定へ

独立派からの情報によると、2031年より、ニューカレドニアに10年以上滞在するフランス国籍の住民にも投票権が与えられることになります。

現在まで、原住民でないフランス人住民には投票権がなく、これが昨年2024年に死者14人を出した大規模な暴動を引き起こしています。

ニューカレドニアでは、2018年、20年、21年とこれまで3回にわたり独立か否がを問う国民投票が行われていますが、3回とも数パーセントの差で否決されています。

今回の合意は独立派と反対派が「譲歩」した形で、フランスに帰属したまま、現在の「特別共同体(Collectivité sui generis)」といういわば地方自治体から、一定の主権を持つ「統治国家」への移行を取り決めたものです。

26年の住民投票、議会での承認で移行が完了

フランス国民議会と上院は、今年の年末までにヴェルサイユで合同の議会を開催し、憲法への明記を可決、一方ニューカレドニアでは、2026年の2月に住民投票が行われますが、これまでのように「独立するか否か」を決めるものではなく、今回の合意を「承認するか否か」投票になります。

さらに、現地の議会で今回の合意が可決されて初めて「国家」への移行となります。

 

フランス国内の「国家」とは?「ニューカレドニア国籍」が誕生

まず、「ニューカレドニア国籍」が新たに誕生します。これによりこれまでのフランス国籍と二重国籍を持つことが可能になります。

また、今後同国で制定する基本法により国歌や国旗を新たに作ることもできます。さらに諸外国から国としての承認を受けることもできます。

フランス憲法には「ニューカレドニア」という「国家」が記載され、フランス政府は独立統治のための支援をすることも明記されます。

暴動からの経済立て直しが急務

支援として、経済と金融の再構築が組み込まれ、特に島の北部、「カナック」(Kanak)と呼ばれる原住民系住民が大半を占める地域でとれるニッケル鉱の製錬工場の再稼働などが盛り込まれています。

この工場は昨年の暴動から閉鎖され、以来1,300人もの工場労働者が失業しています。ニューカレドニアの国民総生産は昨年の暴動で前年比で10%も下がっており、経済再生が急務です。

執筆:マダム・カトウ

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