「フランス国民議会選挙」初回投票で極右が1位通過 フランス第五共和制において初

2024.07.02

2024年7月2日(火)、フランス国民議会選挙(élections législatives)の第一回投票の結果、極右政党国民連合(Rassemblement National:RN)が全577選挙区の33.4%と同党結党以来の高い得票率で1位通過、フランス第五共和制において初の結果となりました。第一回投票で過半数を取った当選者は76人、残りの501議席は7日(日)の第二回目投票で争われます。

 

ポピュリズムの台頭が顕著、マクロン大統領の与党は3位転落

第一回投票で2位につけたのは極左を中心とした左派連合、新人民戦線(Nouveau Front populaire : NFP)の28.27%で、マクロン大統領の中道アンサンブル(Ensemble !)は21.73%と3位に転落、フランスにおけるポピュリズムの台頭が顕著になっています。

6月の欧州議会選で3割超の議席を獲得し勢いづいた極右国民連合(RN)の躍進で、今回の国民議会選の投票率は67%と国民の関心の高さがうかがえます。

極右、極左嫌疑の株式市場、一時暴落も過半数リスク回避で持ち直し

フランスCAC40や欧州ストックス600などは、極右、極左双方が掲げる、エネルギーの消費税引き下げ、最低賃金の引き上げや生活必需品の価格抑制などの選挙公約が、大幅な財政支出増につながることから下院解散発表後に暴落していましたが、初回投票で極右、極左の過半数リスクが回避されたことから、いったん回復傾向にあります。

第二回投票の結果次第では経済、財政への不透明さが増し、株式市場、金利などへの悪影響が懸念されます。

 

フランス国民議会選挙の仕組み

フランスの下院、国民議会の投票は2回投票制になっており、第一回投票で当選するには2つの条件があります。

1)立候補した選挙区で50%+1票を獲得すること
2)その選挙区の有権者の25%の支持を得ること

そもそも投票率が低いと、2)の条件を満たすことが難しくなります。

第一回投票選挙結果、および今回の投票で当選した76人の内訳は:

国民連合*(RN)39人 33.2% その他右派(Droite)0人 2.21%
新人民戦線(NFP)31人  28.27% その他(Divers)0人   1.67%
アンサンブル(Ensemble !)2人 21.73% その他極左(Extrême Gauche)0人   1.15%
その他中道(Centre)1人  1.11% 極右ルコンケット(Reconquête)0人  0.75%
共和党(LR)1人    7.25% レジオナリスト(Régionalistes)0人  0.62%
その他左派(Gauche)1人  1.64% その他極右(Extrême Droite)0人  0.4%

*RNと選挙直前に連帯した共和党LR議員を含む

2回目投票に立候補できる条件

第一回投票を通過するには最低12.5%の得票が必要ですが、今回の選挙は投票率が高いことから、通過した立候補者が3名いる選挙区が多くなっています。

 

極右を阻止する「犠牲的」立候補辞退者続出

第二回投票への立候補の締め切りは本日18時ですが、フランスの民主主義を守るため、すでに昨日から極右阻止を唱えた立候補辞退者が相次いでいます。本日12時の時点で、195人の立候補辞退者がでています。

うち、124人が左派連合から、69人が与党アンサンブル党からでています。極右RNからは、ナチスドイツ将校の制帽を被った写真がSNSに出たことから第二回投票出馬を撤回した1名のみになっています。

混戦も極右首相誕生リスク高く

しかしながら、現時点ではまだ111の選挙区で上位3名による第二回投票が実施されることになり、決選投票結果の予想は容易ではありませんが、極右RNが289議席の過半数を取る可能性は高く、その場合、大統領は中道、首相は極右と「ねじれ」状態の政府が誕生します。

さらに、どの政党も単独で過半数を取れないことを想定して連立を探る動きも水面下で行われており、この日曜の選挙結果は大いに注目されます。

執筆:マダム・カトウ

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