DELF A2試験対策(その5)作文問題の内容と対策:友人への手紙・メール

2023.06.15

フランス政府認定のDELF(Diplôme d’études en langue française)A2は、初心者〜中級者向けのフランス語能力試験です。

この試験を突破するには、自分の身の回りのことについて理解・表現するフランス語力が必要です。

このシリーズ記事ではDELF A2試験の内容や対策をご紹介しています。第5回目の今回は、DELF A2の作文(Production écrite)試験の内容を徹底的に分析します。

(シリーズ第1回では、DELF A2試験の基本情報を、第2回では過去問と参考書の紹介、第3回はリスニング・第4回は読解の特徴と対策を紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。)

 

DELF A2の作文試験

第1回の記事で見たように、筆記試験はリスニング(Compréhension de l’oral)・読解(Compréhension des écrits)・作文(Production écrite)の3セクションで構成されています。

 

作文試験の内容

作文試験では、45分で2つの文章を作成します。大問2つとも、文字数は60字以上と指定されています。

*文字数の指定に minimum とある場合は●語以上、environ とある場合は●語程度(一般的に文字数の±10%)で作文するようにしましょう。

テーマと形式

過去問では、誕生日パーティーについて友人に報告する、友人からの結婚披露宴への招待状に返信する、といった課題が出されました。

友人宛の手紙・メールを書く力、自分の感想や印象、疑問を表現する力が試されます。

 

時制を読み解く

作文で重要なのは、問題文の読み取りです。

過去問では以下のような文が出されました。どの時制をつかってメールを書けばよいのか? 考えてみましょう。

まず1問目です。
Hier, vous avez fêté votre anniversaire avec votre famille et vos amis.
Vous écrivez un mail à votre ami(e) français(e) pour lui raconter ce que vous avez fait pendant cette journée. Vous lui donnez aussi vos impressions sur la fête.

ここからわかる内容は以下ですね。
[1] あなた(皆さん)は昨日、誕生日パーティーを行った
[2] そこで起きたことと、印象・感想について、友人に手紙を書く。

では2問目はどうでしょうか。
Vous envoyez un courriel à vos amis pour les féliciter de leur mariage. Vous acceptez leur invitation et vous dites avec qui vous viendrez. Vous posez quelques questions sur l’organisation.

ここからわかる内容は以下です。
[1] あなた(皆さん)は友人の結婚を祝うためにメールを書く
[2] 披露宴への招待を受け入れ一緒に行く相手を伝える
[3] 計画についていくつか質問する

つまり1問目では過去の出来事について、2問目では将来の出来事について書く必要があるとわかります。

それぞれ設問から過去・現在・未来の時間軸を読み取り、適切な時制を選びましょう。

 

手紙・メールの形式を知る

次に、実際に文章を書く際のポイントです。A2試験では「友人宛のカジュアルな手紙・メールを書く」という課題にふさわしい人称や形式を身につけておくことが必要です。

以下ではカジュアルな手紙・メールの形式を解説します。なお、フォーマルな手紙・メールに必要な要素は、B2試験対策シリーズで紹介しています(こちら)。

必要な要素は

・日付(手紙の場合。詳しくはB2試験対策シリーズ(その5)の解説をご参照ください)
・書き出し(Formule d’appel)
・本文
・結語(Formule de politesse)
・署名

書き出し

手紙・メールの書き出しには、大きくわけて2パターンがあります。

1つ目は「挨拶」から始める場合です。
Bonjour / Salut / Coucou (+宛名) ex. Bonjour Stéphane,…

2つ目は「宛名」から始める場合です。
Cher +男性の名前 / Chère +女性の名前 / Chers +複数名の名前あるいはtous(みなさん)
Cher ami / Chère amie
Cher / Chèreは、「親愛なる…」というような、相手との距離の近さを示す表現です。

本文

本題から始めても問題ありませんが、日本語でも「元気にしてる?」「最近どう?」と書く場合があるように、なにか一言入れると良いでしょう。

代表的なものとしては以下のような表現があります。

Comment vas-tu ? / Tu vas bien ? / Ça va ? (「元気?」「うまくいっている?」とたずねる表現)
J’espère que tu vas bien. / J’espère que tous va bien chez toi.(相手が元気である、うまくいっていることを期待して)
Je t’écris pour …(手紙の目的から書き始める場合)

相手が複数名の場合は tu / teを vous に代えて書きましょう。

結語

手紙・メールの結語として便利な表現をいくつか紹介します。本文のあとに改行して書きましょう。

―(挨拶)À bientôt ! / Salut !  / À la prochaine !
―(ビズ)Bisous ! / Bises ! / Je t’embrasse !

署名

結語から1行あけ、あるいは改行して、忘れずに入れます。

 

対策のポイント

まずは手紙・メールに必要な要素と構成、そして定形表現を身につけることが大切です。

過去問や参考書の解答などを参照しながら、使えそうな表現のストックを増やしていきましょう。同時に、決まった形式で再現できるように何度も繰り返し書いて練習してみてください。

書いた文章はつづり・時制・性数一致などを自分で確認したうえで、できれば先生や友人に頼んで添削してもらいましょう。

自分で自分の文章をチェックすることで、間違えた部分が記憶に残りやすくなります。また基本的な点を自分で直しておけば、より踏み込んだ点について添削を受けられるのでおすすめです。

 

まとめとアドバイス

A2試験の作文では、手紙やメールの形式が出題されることがわかりました。

まずは基本的な表現のストックを増やすこと、そしてできれば添削などを活用して手紙・メールの形式に慣れていきましょう!

最新情報を要チェック

本シリーズの過去問分析は、フランス国民教育省が公開している過去問(リンク)を参照しています。

時間や形式などは変更される可能性があります。受験生の方は最新の情報をチェックすることをお忘れなく。

次回の記事では、口頭試験の内容と対策についてご紹介します。

執筆あお

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