フランス政府認定のDELF(Diplôme d’études en langue française)A2は、初心者〜中級者向けのフランス語能力試験です。
この試験を突破するには、自分の身の回りのことについて理解・表現するフランス語力が必要です。
このシリーズ記事ではDELF A2試験の内容や対策をご紹介しています。第4回目の今回は、DELF A2の読解(Compréhension des écrits)試験の内容を徹底的に分析します。
(シリーズ第1回では、DELF A2試験の基本情報を、第2回では過去問と参考書の紹介、第3回はリスニング試験の特徴と対策を紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。)
DELF A2の筆記試験
第1回の記事で見たように、筆記試験はリスニング(Compréhension de l’oral)・読解(Compréhension des écrits)・作文(Production écrite)の3セクションで構成されています。
読解試験では、30分で4つの問題が出題されます。
第1問の特徴と対策
1問目は複数のテキストを読み、必要な情報を抽出する問題です。
例えば不動産の広告(間取り、地区、問い合わせ先など)が出され、家探しをしている5人の好みや希望に合う物件を答えます。
また本の紹介文(タイトル、ジャンル、あらすじなど)を読み、友人8人にそれぞれの本を勧めるかどうかを答える問題もありました。
情報をしっかり整理しよう
第1問に出題されるテキストの文字数は多くありません。
しかし短いなかにさまざまなタイプの情報が含まれており、複数のテキストや設問を往復するうちに情報を混同しがちです。
そこで過去問や参考書をつかいながら、情報の種類ごとに異なる目印をつけたり、どの順番で解答するかの戦略を立てたりすることをおすすめします。
第2問の特徴と対策
2問目は手紙やメールを読み、設問に答える問題です。
テキストは、住んでいるアパートの大家さんからのお知らせや旅行会社からの案内など、vous をつかって書かれています。つまり「自分宛て」のフォーマルな文章を読み取る力が問われています。
特徴的な設問として、テキストの内容にもとづき自分はどのように行動すべきかを問うものがあります。
例えば大家さん主催のパーティへの招待状を読み、「パーティへ参加するにはどのように申し込むべきか」「パーティへの手土産は何がふさわしいか」などです。
当事者になりきる
第2問のテキストにある vous は、自分でない誰かではなく受験生の皆さん自身です。つまり書き手は皆さんに宛てて、依頼・警告・提案などを通じ行動を促すような内容を伝えています。
この点をふまえ当事者になりきってテキストを読み、適切な答えを選びましょう!
第3問の特徴と対策
3問目は説明文を読み、設問に答える問題です。
例えば取り扱い説明書など、手順や使用方法を説明するテキストが出されます。
やはり当事者になりきる
2問目と同じように、説明文をふまえ自分はどのように行動すべきかを問う設問が特徴的です。
ここでも出題されている状況を想像し、当事者になりきって解答することがポイントです。
第4問の特徴と対策
4問目は120語〜150語ほどの短い複数のテキストが提示され、内容の理解を問う問題です。
過去問では、新聞の地域欄やインターネット上にあるようなイベント案内が出されています。
疑問詞に注目
設問には、以下のようにさまざまな疑問詞が含まれています。それぞれが何を問うているのか整理しておきましょう。
―que / qu’est-ce que 「何を」:動詞の目的語を答える
―qui 「何が」:動詞の主語を答える
―quel / quelle etc. + N. 「何の〇〇」:続く名詞の性質を答える
etc.
これらの疑問詞の意味を復習し、テキストからどの情報を引き出せばよいのか正確に把握しましょう。
まとめとアドバイス
A2試験の読解試験では、広告・手紙・説明書など日常生活に関係の深いさまざまなタイプのテキストが多く出題されることがわかりました。
それぞれの設問の特徴を把握し、苦手なものから対策をすすめていきましょう!
最新情報を要チェック
本シリーズの過去問分析は、フランス国民教育省が公開している過去問(リンク)を参照しています。
時間や形式などは変更される可能性があります。受験生の方は最新の情報をチェックすることをお忘れなく。
次回の記事では、作文試験の内容と対策についてご紹介します。
執筆あお