意外な日本語も…仏仏辞典 Le Robert 19年版で見るフランスの「今」

2019.09.25

図書館と本

有名な仏仏辞典の Le Robert。フランス語学習に欠かせないこの辞書は毎年改訂されており、その年から新たに加わった単語も紹介されます。日本で広辞苑が改訂される際、どのような言葉が新しく入るか大きく話題になるのと似ているかもしれません。

新しく入った単語のリストを見ると、言葉がその時代を反映しているということがよく分かります。2019年版 Le Robert には一体どんな単語が新たに入ったのでしょうか?

 

インターネット、環境…ここ数年注目を集めている言葉

1.Animalisme

動物を、痛みを感じる能力のある生き物としてとらえ、その権利を守ろうという動きのこと。毛皮の搾取などにくわえ、動物実験などを残酷なものとして反対する動きが、近年盛んになっています。

2.Cybersécurité

これはそのまま日本語にもなっている「サイバーセキュリティー」です。ただしセキュリティー security ではなく、sécurité とフランス語の表記・発音になっています。

3.Bloqueur (de publicité)

「ブロック/遮断する物や装置」という意味で、大抵はネット上の広告などをブロックする装置や機能、という意味で使われています。

SNSなどによる情報収集やネット上のプライバシーなど、インターネットに関することがヨーロッパでもここ数年話題になっており、Cybersécurité と同じくまさに時代を反映した言葉といえます。

4.VTC (Voiture/véhicule de transport avec chauffeur)

運転手付きの乗り物」という意味で、タクシーとは違い事前に予約(呼び出し)が必要な、Uber のような乗り物サービスのことです。こうした新しいサービスが生まれると、新しい言葉も誕生していきます。

5.Écomatériaux、Bioplastique

環境関連の言葉も新しく入っています。Écomatériaux は「(建設などに使われる)環境に配慮した物質」といった意味で使われます。Bioplastique は「微生物などによって分解されるプラスチック」のことです。

エッフェル塔と開いた本

 

日常の言葉、そして外国語

6.Glande

この単語は特に新しいという感じはしません。私はリストを見て「これまでこの辞書に載っていなかったのか!」と驚いたくらいです。それほど日常的に耳にしたり、感じたりしていました。「何もしない(ダラダラする)こと」という意味です。

7.Grossophobie

gros/se(太った)と phobie(嫌悪)を組み合わせた言葉で、「肥満や太り気味の人に対する嫌悪」という意味です。

やせたいという欲求の裏には、この Grossophobie がひそんでいるという声も聞かれます。フランスでは数年ほど前にやせすぎたモデルの活動を禁止する法案が可決しており、こうした時代の流れを表すキーワードの一つとも言えそうです。

8.Replay

少しややこしいのですが、日本のスポーツ中継などで使う「あるシーンをもう一度再生する」の意味だけでなく、「再放送」としても使われている言葉です。フランス語へ訳すことなく、英語の表現がそのまま入ってきています。

9.Globish

現在、英語を第二言語として使う人が多くなってきています。そのため英語は母語としてだけではなく、媒介言語/共通言語という側面も強くなってきています。Globish は この状況を表した「グローバル言語としての英語」という意味で、Global と English を足した言葉です。また「英語を母語としない人たちが簡単に会話できるための英語」のことでもあります。

この Globish は、フランス人が好んで話す「グローバル化の波」や「世界におけるフランス語の立ち位置」といったテーマに広げやすい言葉でもあります。ぜひ Globish への意見をフランス人に聞いてみてください。

10.Gomasio

2019年版の Le Robert には、Cosplay など日本語から来た言葉も入っていました。中でも私が一番驚いたのが、Gomasio でした。日本語だと「ごましお」という発音ですが、フランス語化した読み方は「ごまじお」と濁ります。日本食ブームもあってか、フランスのスーパーではたまに Gomasio が売られていることがあります。

 

英語が多くなった?

かつての新語は、英語そのままではなくフランス語に翻訳されるものが多かった気がします。コンピュータは ordinateur、ダウンロードは téléchargement など。フランス語学習者としては「英語をそのまま使えない!」とちょっとがっかりした経験、皆さんもあるのではないでしょうか? しかし今年の追加リストをざっと見たところ、英語がそのままフランス語になっている単語が多い印象です。

また Le Robert には他にも「今年の言葉」という、その年を表すキーワードの説明があります。まさに「言葉を通じて年を見る」リストと言っても過言ではありません。興味のある方はこちらもぜひ読んでみてください(PDFファイルです)。

執筆:Amy

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