フランス語が話せないまま渡仏した僕がどのようにフランス語を学んだのか。皆さんだけにこっそりと「秘伝の書」を伝授しています。
前回の答えは「チャットに明け暮れた」
前回は皆さんに問題を出しましたが、覚えていらっしゃいますか? 僕Daisukeがフランス語を学ぶ上で大切にしたこと。正解は…
「C:チャットに明け暮れた」
です。一体どういうことでしょうか。ただでさえ家にいると外界と接触することなく、そして日本のアニメなどを見てしまいがちなのに、チャットに明け暮れたとは。ますます引きこもりを助長しそうなものです。
まず、どうして「A:間違えずに正しいフランス語を話そうと心がけた」「B:若者の話す言葉を真似した」ではないのか。そちらから説明します。
正しいフランス語を話そうとすると…
正しくきれいなフランス語で話すことは、習得の上で最も重要な要素です。くだけた表現しか使えないのと、きれいな言葉を知っていてくだけた表現を使うのとでは、表現の幅もまったく違ってきます。
しかし正しく話そうとすると、いったん頭の中で日本語をフランス語に置き換えて「正しいかな、間違ってるかな」と考えます。そのうちにも会話はどんどん先へ進んでいきます。一対一のときは相手が待ってくれるのでまだいいです。
しかし複数で会話している時、そう、僕が一番恐れているfête (パーティ)など、大勢が集まる場ではひとたまりもありません。それに言いたいことを自分の言葉で伝えられない、これほどフラストレーションがたまることはありません。
気がつけば観葉植物と化し、見かねた友人から時々「ça va ? (大丈夫?)」と声をかけられるはめになるのです。
若者言葉を真似すると…
生きた言葉を学ぶ上で、若者が話す言葉を使うのも非常に大切なことです。ただしやはりあくまでも「若者言葉」なので、時と場合をわきまえなければいけません。
僕の歌の先生に対して何回「Bah oui hein ? (そりゃそうっしょ?) 」と言ってしまいそうになったことか…。
チャットに明け暮れた理由は?
さて「チャットに明け暮れた」の説明に移りましょう。
僕は友人を募集するサイトに登録し「とにかくフランス語がしゃべりたい」ということを熱烈にアピールしました。そして知り合った人とSkypeなどのチャット機能を利用して、辞書を片手にフランス語でチャットしまくったのです。
チャットのいいところは
チャット機能のいいところは、
・文字で見えるのですぐに辞書で調べられる
・相手が使った表現が目で見える形で残る
・容赦なく相手からメッセージが来るので、ただひたすらフランス語を書き続ければいけない
そして一番いいのは
・ニュアンスや表情、身振り手振りが伝わらないので、適当に書くとまったく相手に言いたいことが伝わらない
フランス人は返事が遅れるとすぐに「Pas de réponse ? (返事なし?) 」とか「Je t’intéresse pas ? (僕(私)のこと興味ないの?)」と聞いてきます。
「チャットが修行」
もちろんみんながみんなそうだとは言いませんが、会話のキャッチボールがとにかく早いのです。毎日毎日「チャットが修行」のような生活を送っているうち、気がつくと複数の人を同時に相手にしてチャットできるようになっていたのです。
「これはいける!」僕は家に帰ったら、大好きな青いネコ型ロボットのアニメを見るのをぐっと我慢し、Skypeをオンラインにしたのです。ちなみに一番上の画像は、僕の実際のSkypeのやり取り。この時はおやすみ、ビズ、しか言っていませんね。
次回は「秘伝の書」最終回です。
執筆 Daisuke