十数回にわたりお届けしている「フランスで犯罪に遭わない方法」シリーズ。今回はまさかの「日本人を狙った日本人による詐欺」です。なにやら物騒な響きですが、一体どういうことでしょうか…?
「条件のいい物件」には要注意
これは旅行者の方にはあまり関係がない話かもしれません。僕はフランスへ来て最初の数週間、部屋探しに明け暮れていました。フランス語はまだほとんど理解できなかったので、日本語のコミュニティサイトや日本語の新聞だけが頼り。
物件探しに難航
家で音楽の練習ができる物件を探していましたが、自分の予算と合うところはパリではなかなか見つかりません。知り合いもほとんどいないため、選択肢はかなり限られます。条件に合う「かもしれない」情報を得れば片っ端から下見にいく、という日々でした。
そんな時、非常に条件のいい物件のアノンス(une annonce 知らせ、通知、情報)を見つけ、さっそく連絡を取ります。相手は現在その部屋に住んでいる方。もうすぐ退去するので、次に入居する人を急ぎで探しているとのことです。すぐにでも部屋を見つけたかった僕には、いい知らせでした。
いい物件が続々と…
その方から聞いた日本人の仲介業者に連絡すると、残念ながらそのお部屋はすでに次の入居者が決まっているとのこと。ですがそれから今まで探しても探しても見つからなかった「音楽練習可」「低予算」「アロカシオン・ドミシル(une allocation domicile 国から支給される住宅補助手当)申請可」な物件が次々と紹介されます。
それもパリ市内の治安のいい地区ばかり。こんないい場所でこんな金額で練習ができて、断る理由が見つかりません。
メールの文面
その方からは、ものすごく丁寧なメールが返ってきます。メールにはこのような文面が添えられていました。
(画像は当時実際に僕が受け取ったメールです。名前は伏せています)
『尚、私の方で扱わせていただいている物件は、私の方で営業を担当しております、日本人法律コンサルタントの扱いの物件となります。
実際の契約等に関しては、私どもの顧問弁護士の監修のもとに行っており、クライアントの方のご希望によっては、弁護士の立ち合いによる契約も手配させていただいております。
契約の際には年間の家賃の10%の手数料のお支払いをお願いしております。(例/上記二つ目のステュディオの場合780ユーロ。学生の方、長期ご滞在の方の割引あり。
弁護士立会いをご希望の際、発生する費用はお客様の別途負担となります。ご了承くださいませ』
友人から「注意喚起」メールが…
これだけしっかりされているなら安心だ、と僕はすぐに内見の予約を入れます。そして同じ頃、家探しに協力してくれていた在仏歴11年の友人から、こんなメールが届きます。
「〇〇という人物には充分注意してね。退出時に補償金を返さなかったり、急に家賃を引き上げられたり、住居証明や領収書を出さなかったり、実はアロカシオンを申請できなかったり、留守の間に荷物を全部外に出されていたり、契約書も本物とは全く違うでたらめな日本語訳をわたしてきたり……という被害にあった人を知っています」
「〇〇」…どこかで聞いたような名前…そうです。僕がコンタクトをとっている方と同じ名前です! 一体僕はどうなってしまうのでしょうか?! 続きは次回でお話します。
執筆 Daisuke