2026年4月10日(火)、世界中でガソリン価格が高騰する中、フランスではイラン紛争が起こった2月からも価格が変わらないバイオエタノール燃料の人気が急増しています。ガソリンやディーゼルの半額以下の低価格で、環境にも優しいといわれる燃料ブームについて、地元メディアが取材しています。
ガソリンの半額以下、スーパーエタノールE85に注目
アメリカのイラン攻撃から、それまで1リットルあたり2ユーロ(約372円/1ユーロ=約186円)を超えることはなかったフランスのガソリン価格は、現在1リットルあたり2ユーロ前後~2.9ユーロ(約539円)、ディーゼルは2.3ユーロ(約427円)前後~2.6ユーロ(約483円)で推移しています。
ところが、E85と呼ばれるバイオ燃料のスーパーエタノールは、紛争が始まった2月から0.75ユーロ(約139円)前後と、半額以下の低価格を維持しています。
課税額が低いバイオ燃料
バイオ燃料が低価格である最大の理由は、フランスの燃料への課税額にあります。
ガソリン価格には約60~63%、ディーゼル価格には55~60%のエネルギー物品税、消費税が含まれています。これに対し、エタノールは40~45%と20%ほど税率が低く設定されています。
バイオエタノール変換機の需要が3倍
米政府は1週間ほどで終わると報道していたものの、トンネルの先が見えないイランによるホルムズ海峡の封鎖により、ガソリン高はしばらく続くという予想がメディアで報道されています。
そんな中、ガソリン車に取り付けるだけで、植物由来のバイオエタノール配合のスーパーエタノールを利用できる変換器(コンバーター)の需要が急増しています。
フランス最大のスーパーチェーン、ルクレール(Leclerc)の車両整備所はメディアの取材に対し、この変換器の取り付け需要が今年1〜2月と比較して、3月単月で3倍に増えた、と答えています。
「毎日、取り付け注文が4、5件来ている」と語るのは、南西フランスのモントーバン(Montauban)で変換器の取り付け認可を持つ自動車整備工場を経営するラロック(Larroque)氏です。
同氏によると、2000年以降に製造されたガソリン車であれば、機種によって多少取り付けが複雑な場合もあるものの、ほとんどの車に変換器を取り付けることが可能なので、ガソリン代の節約には「もっとも簡単で即効性がある」ようです。
取り付け費用、15,000km走れば元がとれる
スーパーエタノールの弱点は2点あります。ガソリンよりも消費量が15~20%多いこと、そして、ガソリン車にくらべ若干エンジンパワーが低いことです。
変換器の取り付けには、700ユーロ(約130,000円)~約1200ユーロ(約200,000円)の費用がかかりますが、この初期投資は15,000km走行すれば元が取れるといいます。
また「燃料消費量の増加分を加味しても、1リットルあたり1ユーロ(約186円)以下に抑えられる」と、メディアの取材に対し、フランスに3社ある認可済み変換器メーカーの一つ、ビオモーター社(Biomotors)は答えています。
バイオ燃料車で走行可能な車、製造するのは1社のみ
米フォード車のフォード・フィエスタに乗るエレーヌ(Hélène)さんは、バイオ燃料エンジン「フレックスフューエル(Flexifuel)」が搭載された車のありがたみをかみしめています。
ガソリン車で走っていたころは、毎回66ユーロ(約12,300円)ほどかかっていたガソリン代も、今では35リットルのタンクを満杯にしても、17ユーロ(約3,200円)~20(約3,700円)ユーロほどしかかかりません。確かに走行時のエンジンパワーは多少落ちたものの、満タンで500km走れるといいます。「66ユーロも払えば750km走れる」とエレーヌさんは述べています。
現在、米フォード社がバイオ燃料で走れる車を製造している唯一のメーカーですが、ビオモーター社の創設者アレクシス・アンドリュー(Alexis Andrieu)氏によると、ガソリン車の90%はバイオ燃料に変換できるといいます。
ガソリン車の9割は変換可能、認可メーカー側
ビオモーター社は、会社設立から15年間で35万台の車に同社の変換器を搭載しています。この間も、原油価格が高騰するたびに需要が急増しますが、先月はすでに1500個販売されています。
スーパーエタノールは「環境に良い」は本当か?
バイオ燃料といっても、スーパーエタノールE85には、15~35%の割合でガソリンが含まれており、その配合は季節によって変わります。
バイオエタノールは寒いと燃えにくいことから、冬にはガソリンの比率が上がるのです。
エンジンの始動をよくするため、冬はガソリン多め、夏はエタノール多めで配合されます。
いずれにしても100%植物由来ではありません。
それでも、メーカーによると、この燃料を使用することで、微小粒子(微粒子)や温室効果ガスの排出を削減できるとされています。
単一作物の大量生産、生物多様性の喪失懸念
フランスで生産される農業由来のエタノール、つまりバイオエタノールは、テンサイ(砂糖大根)や穀物(小麦、トウモロコシ)が主な原料となっています。
バイオエタノールを生産するために、これらの野菜を大量生産することになりますが、大規模な単一作物の栽培は害虫の発生を増やすなど、生物多様性が失われる要因となります。
ブドウの搾りかすなど、リサイクルに活路あり
これについて、先述のアンドリュー氏は「ブドウの搾りかす(マール)やワインの澱(おり)など、ワイン製造の残渣からも生産することができる」と述べています。
バイオ燃料には環境への課題もありますが、ガソリン高もしばらく続きそうです。
出典:20minutes、フランス政府公式サイト、BFMTV
執筆:マダム・カトウ












